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クラウ×フロワード

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次にフロワードに声をかけたのはカルネだった。
「あれ、フロワード中将ですか!?見違える程美人ですね!」
軽い声が聞こえてきて、そちらに目を向ける。
「カイウェル少将・・・」
カルネ・カイウェル少将は、その立場からは考えられないほどの軽さでフロワードに声をかける。
「うわーうわー美人ー。普段はその目が暗すぎるのがいけないんですよー。もっと楽しそうにしたらきっともてますって」
「あなたは頭の中にもう少し知識を詰めれば好意を寄せられるようになると思いますよ」
「あれ侮辱された!?」
カルネは無視する。
フロワードはきょろきょろと周りを見渡す。他に誰か居ないだろうかと探すが、普段から交流のある人物は居なかった。
「あ、ちなみにこのパーティーの幹事はクラウ先輩ですよ!先輩ちょっと自室に籠もっちゃったみたいで、よかったら案内しますけどどうします?」
人当たりのよい笑みを浮かべるカルネ。彼はフロワードにワインを渡して言う。
「そう・・・ですね。幹事にお礼を言わなければと思っていたところです。クロム元帥でしたら言いやすい」
フロワードは自分を鼓舞するためアルコールを一気に飲み干す。
カルネはなんだか面白そうな展開になってきたかなと笑い、奥に引っ込んだシオンに目配せする。
「じゃ、いきましょうか!」
自然な調子でフロワードの手を取ろうとするが、フロワードはそれを無視する。
「そういえば、費用はどうなってらっしゃるんですか?幾らかかるかどうか書かれていませんでしたが・・・」
「あ、女性は無料ですよ」
めげないカルネは気にせずクラウの屋敷を案内する。
扉を開けパーティー会場を後にすると、目の前にある階段を上る。以前来たときに降りてきた階段で、フロワードは緊張した。
(別に何をするわけではない・・・ただお礼を言うだけだ)
自分に言い聞かせる。
クラウの自室へ行くのだって、カルネが付いているのだから問題はない。用が終わったらまた会場へ戻り挨拶にでも回ろうか。
そう考えて、自分の思考につっかかりを覚えた。
(・・・私は、クロム元帥と、・・・深い仲になりたいのか?)
自分の感情に唖然とした。
好意を覚えていることは自覚したが、そこで思考を止めてしまった。
細身だが逞しい腕を思い出す。寝ぼけて自分を抱き抱えた腕と胸板。養父とは全く違い安心感を抱かせるものだった。
(お父様とのような関係に・・・)
一方的だった行為を思い出す。目的の遂行のためには必要だった、しかし思い出す事を拒むあの行為。
フロワードはいっそ目眩すら覚えた。
(知らない・・・こんな私は知らない!)
この場から居なくなってしまいたかった。
クラウにも、逢いたくなかった。
「あ、あの、カイウェル少将・・・やはり私は戻りますよ。元帥閣下もお戻りになられたという事はお休みになられたのでしょう?今から伺うのは逆にご迷惑になるのではないでしょうか・・・」
「大丈夫ですよ!フロワードさんの美脚を見たらきっと先輩喜びますって!」
「びきゃ・・・」
己のドレスを改めてみて、そう言えば胸元も足のスリットも、いつもより露出が多いのを選んでしまったと思った。
「やはり女性は良いですねー・・・フロワードさんも結婚したら教えて下さいね。プロポーズしにいきますから」
「おかしくないですかそれ」
そういえばカルネは人妻が好きだったか。
そうこうしている間に「ここです」とカルネに案内されてしまった。結局会場に戻れず、カルネはにこにことフロワードを見ている。
「先輩はここですから。せんぱーい!」
「あ、ちょ、」
カルネの声に中にいる人物の気配が動く。扉が開き、ラフな格好をしたクラウが現れた。
「・・・フロワード?」
クラウはフロワードの登場に驚いたようだ。
「僕も居ますけど・・・」
「あ?空気が何言ってんだ聞こえねぇなぁ」
「ひ、酷い!人権迫害にも程がある!」
カルネは泣き真似をして走り去ってしまった。「何しに来たんだあいつ・・・」とクラウは呟き、突っ立ったままのフロワードに指示する。
「・・・俺に用があってあの馬鹿に連れられてきたんだろ?入るか?」
「・・・はい・・・」
もう逃げられない。
フロワードは覚悟を決め、頷く。本人は気づいていないが、それは期待の入り交じった返事だった。
「・・・こいよ」
クラウはそれに気づいてしまっている。ほんのり笑い、フロワードを自室へ招き入れた」


「シオンさん、大成功ですね!」
「ああ!これでパーティーを開いた甲斐があった・・・!」
「どうせ直ぐには進展しないんです。パーティーもうそろそろお開きにしませんか?」
「そうだな、良い時間だ。二次会に移行させないとな」
フロワードを招き入れるところまで盗み見していた二人は盛り上がっていた。

かくして、シオンとカルネによる、クラウとフロワードの、二人の恋心のためのパーティーは終了したのだった。
「この後も見ていきたいんですけどね・・・絶対ばれますよね」
「あぁ・・・残念だが、邪魔者はここで消えよう・・・くそ、ルシル位気配を消せるようになればな・・・」
盛大な才能の無駄遣いを夢見て、二人は二次会へとひっそり消えゆくのだった。



6

「適当なとこ座ってくれ」
クラウは緊張気味のフロワードに声をかける。いや、緊張しているかどうか他の者にはわからないのだが、惚れた相手だからだろうか。少し困った様子なのがクラウにはわかる。
フロワードは頷き、適当なところに椅子がないので「失礼します」といいベッドに腰掛けた。さっと周りを見ると、思った以上に質素な部屋だった。シオンも質素さを好む。やはり似ている、とフロワードは思った。
「・・・わり、椅子出してねぇな。あんま部屋にこねぇからな、カルネとか以外」
「カルネ達は床に座らせるからなー」とぼやいて椅子を探すクラウ。やはり椅子がなくて、仕方ないといった風にフロワードの隣に腰を下ろした。
「!?」
「なんだよ?」
距離の近さにフロワードはたじろぐが、クラウが何も気にしてないのを見て冷静さを取り戻す。
「あ、そういえば用件聞いてなかったな。何だ?」
クラウに言われてそもそも訪ねた理由を思い出す。
「あ、いえ、今回のパーティーの幹事役をして下さったと聞き及びましたので、お礼をと思って・・・」
「そうか。いやシオンに頼まれてさ。たまには皆で楽しむのも良いだろ?っていわれて・・・あいつは忙しいからそういうのも出来ないし、俺に役目が回って来たんだよ」
「私も一度声を掛けられたのですが・・・そのときはまだ何も決まっておらず、しかも楽しいことを考えるのが苦手なもので・・・他の方に頼んで下さいと断ってしまったので申し訳なかったです」
「いや・・・て、適材適所でいいんじゃねぇの?」
確かに飲み会で挨拶をするフロワードも旅行先で出し物をするフロワードも全く想像できなくて、クラウは誤魔化した。
「この度は有り難う御座いました。陛下も楽しまれたようですし。やはり私には陛下のお疲れをとることは出来ませんので」
「あぁ・・・そうか」
普通に微笑を浮かべてシオンの事を労るような言葉を出すフロワード。少し面白くない。
(何考えてんだ俺は・・・進展させないって決めただろ?)
作品名:クラウ×フロワード 作家名:ハクヨウ