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みとなんこ@紺
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One-side game

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と、こんな時にはここぞと結果論でごり押せ、とはこの大人と付き合うようになってから習得したワザだ。自ら率先してやっているからなのか、わりと有効なのだ。
案の定僅かな沈黙の後、仕方ないな、と男は軽く息をついた。
「何がお望みだね」
「話が早くて助かるね。次、南部に行くんだけどさー、何かツテないの?」
「具体的に言いたまえよ。言っておくが生体系にはパイプはないぞ」
ろくなのが、とは心の中で付け足しておく。
そうとは知らない子供はしばし考え込んでいたようだが、「兄さん、兄さん。リュカのお父さんに聞いたアレは?」と隣から突かれて、ポン、と手を打つ。
「サウスシティの近くに研究書溜め込んでる好事家ってのがいるみたいなんだけど、繋ぎ取れる?」
「ああ・・・そういえば何か聞いたことはあるな」
「元結構有名な研究者で軍に縁の人って聞いたけど」
「…いいだろう、調べておくので明日また来なさい」
よし、勝利。
思えば、他の皆と違って危ない目にもあってないし、ただ時間食わされただけだ。それにしては結構いい実入りだと自画自賛しながら、エドワードはひょこひょこと上官の前へ。
「・・・なんだね、この手は」
「今日はここで我慢しておくから。資料室の鍵」
「兄さん、ちゃんとお願いして…」
ふー…と疲れたように小さくなっていく弟と、ふんぞり返って手を差し出している兄。
良い対照だ。礼儀云々を今更いう気にもならないというか、ここまでくれば、この兄の気概はいっそ小気味良いくらいで。
大人は珍しく何の含みもない笑みを漏らすと、鍵を手の中に落としてやった。
「ついでにもう一仕事していきたまえよ」
そう言ってやれば、子供の眉がぎゅっと寄った。
「・・・あんた、ほんっとやめてくれよ、それ。皆に移ってんじゃん…」
「何がだね」
何でもない、とエドワードはおざなりに手をふって席を立った。「先ご飯買いに行こうよ、また食べてないじゃない」「そういや腹減ったなー」「あ、大佐、失礼します」とか忘れず丁寧に頭を下げて、話しながら賑やかな兄弟は出て行く。
ふ、と。
弟のあとに続いていた彼は、扉の前で立ち止まって振り向いた。



「蛇は出た?」



「・・・どうかな」
「今回のアレ。あんたのホントの狙いって、上の黒幕って奴引っ張り出す事だったんじゃねぇの?」
表情は一切変わらない。ただ、彼は身体を起こして深く椅子にもたれ掛かると、やがて薄い笑みを口の端にのせた。
「残念ながら尻尾の事はどうでもいいらしい」
「…はん、どーだか。――――ま、何でも良いけど、これ以上変な事に巻き込むなよな」
「人聞きの悪い。タイミング良く鉢合わせしてるのは君だろう」
「不可抗力だと思うけど」
「便利な言葉だな」
廊下の向こうから部下とアルフォンスの声がする。ちょうどかち合ったらしい。そちらに一度視線を投げて、エドワードはもう一度振り返ると、一つ笑った。
「誰かの口癖が移ったんじゃね?」










FIN






作品名:One-side game 作家名:みとなんこ@紺