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二次創作オールジャンルの短い話のまとめ。(永遠に執筆中)

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『疑惑の展示物』学パロ/オムニバス(半分位実話←)





真田主従の場合。



「旦那ー。面白いものが飾ってあるよ」
「戦国武将について、でござるか」
 佐助に呼ばれて廊下の一角、授業で扱ったテキストやら資料を一般に見られるようなコーナーを見れば、小冊子が何冊か置かれていて、それぞれに戦国武将の名前が書いてあった。
「色んな人がいるんだね。ま、俺様の先祖はいないけどさ」
 佐助はどこか残念そうに呟くと、真田幸村と書かれた一冊を取るとぱらぱらとめくり始めた。手持ち無沙汰になって、他になにが置いてあるのか見ていれば突然笑い声が聞こえた。けらけらと腹を抱えて佐助が笑っているのである。不審に思っていれば目尻に涙を溜めながら中身を見せてくれた。
 生い立ちや晩年の大阪の陣で行った真田丸の形跡やら書かれていて、真面目なものである。どうして彼が笑っているのか理解しかねていたら、佐助は冊子の端っこを指さしてきた。そこには、もし真田幸村が現代に生きていたら、と書かれてあった。
「もし、真田幸村は生きていたら、詐欺師になっていると思う。だってよ旦那! これは流石にないよ、無理無理」
「それは言い過ぎでござるよ佐助。先祖は俺に似てるとは限らないではないか」
 こちとら、真剣に言っているのに佐助はまたも笑い転げていた。途中までは佐助のように笑い飛ばせるかもしれないが、過度にやられると気分を害すというものである。恨みがましげに見つめてやれば佐助は釈明めいた事を言い始めた。
「いや、ね。俺は、こんな薄っぺらい記事だけでここまで想像する書き手に感服しただけだって旦那」
「……そうか」
 むぅ、と唸りつつ何百年も前に没している先祖へと思いを馳せていれば、今度は佐助の忍び笑う声に妨害された。
「どうしたのだ? 佐助」
「これさぁ……、戦国武将って訳じゃないんだね」
 しみじみと言う佐助に疑問を持ちながら、彼が指さした場所にある冊子を見れば、「源頼朝」と「源義経」の小冊子が二つ仲良くならんでいた。

(戦国武将だけじゃないのかよ!)





伊達主従の場合。



「小十郎! これ凄くねぇか?」
「……どうしされたのか政宗様」
 我が主が次の授業で使う荷物を持ってやると職員室に来たので、比較的に軽いプリントを持って貰っていれば政宗様は嬉々とした声音で廊下の一角を指さしていた。
 そこには戦国武将を示したパンフ
レットのような小冊子が置いてあった。よく見れば「伊達政宗」の文字。表紙には弦月の乗った黒塗りの兜が描かれていた。
「俺と同じ名前がいるぜ!」
「政宗様の先祖様ですね」
「Ah……でもそんなに活躍してねぇんだな、俺の先祖」
 ぱらぱらと捲りながら残念そうに呟く政宗様に、どう言葉を掛けていいかわからなくて悩んでいれば、顔を綻ばしてこちらを向いてきた。
「ほら、お前の名前も書いてあるぜ!」
「おぉ、本当でありますな政宗様」
 そこには腹心の片倉小十郎景綱と書かれていた。なんだか先祖とはいえ自分の名前がある事に一抹の感動を覚えるものなのか、と新しい発見をした気分になった。
「あと面白い名前が書いてあるぜー。っとナルミ?」
「……いえシゲサネかと」
「Ha! 俺に口答えするなんてやるじゃねぇか小十郎!」
 プリントを両手から片手に持ち替えて掴みかかって来ようとする政宗様を腕で制してから、起動させた電子辞書に書いてある記事を見せると一瞬驚いたようにしてから目をそらした。
「いや、な……ほら先祖様も可愛い名前の方がいいかなぁっと思ったんだけどな」
「それはそうですね政宗様。きっと先祖の方も大物企業の跡取りにそう言われたのなら嬉しいとお思いであると思いますよ」
 あぁ拗ねられた。暫くは口を聞いてもらえなくなるかもしれないと思い、苦し紛れな結論を口にしたのだが、どうやら思い上がらせてしまったようで。
「そうだよな、小十郎!」
 あぁ、ダメだこりゃ。と思いつつも適当に相槌を打って誤魔化した。





豊臣軍の場合。



「……全くなんで、ないんだろうね!」
「どうしました、はんべ先輩」
 先輩が掲示物を発見した途端、不機嫌そうな顔で苦情を漏らし始めた。そして近くに設置してある職員室への内線電話を手に取ろうとしたので、それは流石に不味いと思い、電話に手を掛けられないように自分の身体を盾にする羽目になった。
「戦国武将の説明なのになんで秀吉がいなくて、三成くんの先祖や秀吉に切腹させられる千利休がいるのか、僕には理解出来ないよ!」
「きっと、これらは抜粋しただけですよ、はんべ先輩。だから落ち着いて下さい」
 いつもは白い顔を紅潮させて、電話に手を伸ばそうとする先輩の腕を上で括って届かないようにすれば、辺りから視線(神出鬼没の保険医がこちらをにやにや笑いながら見ている)を受けながらも手を離
さずにいれば、先輩は頬を膨らませながら拗ねていた。
「だって天下人なのにどうして、いないのさ。おかしいじゃないか需要ないようなものばっかりじゃないか」
 そう言われて机の上に広がる冊子を見れば伊達政宗に真田幸村、千利休や源氏。正直変わったラインナップではあるし、天下を掴むとされる徳川家康、豊臣秀吉、織田信長がいないのも不思議である。
「まぁ……天下人が一人もいませんね」
「でしょ? というか腕を離したまえ、三成くん」
 腕を上下左右に動かされて肩が痛くて、仕方なしに手を離せば一目散に電話へと手を伸ばした。
「やめてください、はんべ先輩! 秀吉さまがないのが不満ならば自作したらいいじゃないですか」
「それは名案だね三成くん!」

 次の日。机の上に分厚い、豊臣秀吉についての本が置いてあったかどうかは神のみぞ知る。