むかしむかし
むかしむかし あるところに呪われたお姫様がいました。
魔法を使えた先代の女王がお姫様がいつまでも美しい姿でいられるようにと、
息を引き取る前にかけた最後の魔法でした。
お姫様の周りの家臣たちはその魔法を素晴らしいと褒め称えました。
しかし、ただ一人。
お姫様だけは悲しくていつも泣いていました。
どうしてかというと、
いずれお姫様を残して皆いなくなってしまうとわかっていたからです。
置いていかれる寂しさにとうとう耐え切れなくなったお姫様は、
深い深い眠りについて、そのまま目覚めなくなってしまいました。
それから何年も何十年も経ち美しかったお城は寂れ、
美しい調度品の数々は盗賊たちに盗まれてしまいました。
眠ったままのお姫様は盗賊の親分に・・・・・・。
「・・・それで、続きは?」
「この続きはもうないの。昔破いてしまったから・・・」
「どうして?」
「・・・だって、お姫様が酷い目にあうのが可哀想だから・・・」
「・・・王子様が助けに来るかもしれないだろ?」
「・・・王子様なんて、いない。
・・・お姫様も僕たちみたいに二人ぼっちだったらまだ・・・幸せだったろうね」
その悲しげな微笑がいつまでも忘れられなかった。
真っ白な包帯に包まれたその子が、
御伽噺と同じような呪いにかかっている事を知ったのはそれから後の話だ。