カテリーナⅡ
3.
出会ってから、数か月が過ぎた。
私たちはこ・・こい、こいびと・・・同士、という関係になった。
といっても、今までとほとんど変わらない毎日を過ごしていた。
学校で会って、たまに夕食を一緒に食べて。
変わったことといえば、休日に一緒に出かけたりするようになった。
あとは、付き合ってるの?と聞かれることが少なくなった。
本田がそういうオーラをだしているからかもしれない。
別名「私のナターリヤさんに触らないでくださいオーラ」。
本田は、今まで以上に私に甘くなった。
いいか悪いかと聞かれたら嬉しい、と思うけれど、やっぱりこんなのはよくなかった。
私だって本田のために何かしたい!と怒ったら、じっと黙って私を見つめた。
「本田?どうした・・・?」
「・・・・・・・・・・な、なんでもありません。そういうことは、あまり言わないように。」
「?なんだそれ」
首を傾げた私の問いかけに、本田はコホンと咳払いして話を逸らした。
「そ、それよりも!お手紙は出したんですか?」
「ああ。春休みにロシアに行くって書いておいた。兄さんや姉さんに会うのも1年ぶりか・・・。」
好きな人ができた、と手紙を送ったあと、返ってきたのは『それはよかった。ぜひ会いたいなあ。姉さんにも恋人ができて、僕は少し寂しいよ。でも嬉しい。本田くんと、仲良くね。』という返事だった。
姉さんも私と同じような状態だったらしい。
ロシアに行くのは本田を兄さんと姉さんに会わせるためでもあり、姉さんの恋人が姉さんに相応しい男か見極めに行くためでもあった。
姉さんはどんくさいから、その男に騙されているんじゃないかと心配だ。
兄さんにも会いたい。きっと笑って、抱きしめてくれるはずだから。
「後悔していますか?」
本田は、私の顔を覗き込んできた。
「何の後悔?」
「私を、選んだこと。」
本田は私の顔をじっと見つめた。
話を続ける。
「お兄さんに会って、やっぱり違ったなんて言われるの、嫌ですよ?」
本田は笑いながら言った。
私の決死の告白が伝わってないっていうのか。
こいつの頭殴りたい。
私はむかっとして叫んだ。
「言っただろう!私は、兄さんよりも、お前のことが好きだってっんっ!」
突然、唇が塞がれる。
ああもうむかつく!
「ごちそうさまです。」
本田はにこにこしながら言った。
私をからかって何が楽しいんだ。
腹にボディブローを入れてやると本田はよろけた。
「冗談ですよ。ナターリヤさんは、私のことが大好きですからね。それに・・・」
本田は自分の唇に手をあてて微笑んだ。
「先手必勝、ですよね?」
私はもう一度本田の頭を叩いた。
好き、と改めて言われるとなんだか恥ずかしくて、しかもにやにやしながら相手に言われるのはとてもむかつく。私はふいっとそっぽを向いた。
「・・・うるさいばーか!」
耳まで赤くなっている。
ばれないようにばーかばーかと言い続けた。
どうして私はこいつが好きなんだ。
全く。全く・・・・!
私はいっつもドキドキしてばかりだ!