カテリーナⅡ
6.
夕食を食べ終わり、帰る時間になって俺は一足先に家に帰ることになった。
そろそろお暇するよ、と言うとライナが私送るね、と一緒についてきてくれた。
といっても、俺の家もこのすぐ近くのアパートだし、見送りなんていらなかったんだけど。
それでも俺は、少しでも彼女と一緒にいたくて、彼女の提案を断れなかった。
夜の風は冷たくて、でもとても澄んでいて、星がきらきらと瞬いている。
「君があんなに料理上手なんて、知らなかったんだぞ!」
俺はぷんぷんと怒った。
嫉妬だ。彼女の弟はあんなにおいしいものを毎日食べているなんて。
自分が彼女のことを知らなかったのも悔しかった。
彼女は、ちょっと慌てて、ごめんなさい。と呟いた。
「食べて欲しいとは、ずっと思っていたんだけど・・・その・・・勇気が、でなくて。失敗しちゃったら、どうしよう・・・って。」
俯いてぽそぽそと弁解する。
それがとってもかわいくて、ふう、と息をついた。
もう怒っていたのもどこかへ飛んで行ってしまう。
「おいしかった。すごく。」
にっこりと彼女のほうを向いて微笑むと、アイオライトの瞳がきらりと輝いた。
その輝きは、星よりも美しい。
「あ、ありがとう!」
俺は、彼女の笑った顔が大好きだった。
す、と彼女の頬に手を伸ばす。
「毎日、食べたいな。君の料理。」
彼女は時間が経つにつれてかあああああと赤くなっていく。
ああ、かわいい。
「うん。・・・うん。」
こくりとうなずく彼女を、ぎゅっと抱きしめる。
「今度は一緒に、アメリカに行こうか?」
ぽそりと言った言葉を、彼女は聞き逃さなかった。
俺のほうを見上げて、にこ、と笑う。
「ええ、もちろん。」
夜空を見上げると、一番星がきらりと輝いた。