閑話休題【腐向けAPH】
弐
バイトの合間合間でケータイを見て、ゆるりと笑顔を浮かべるアーサーは正直気持ち悪いと思う。昔からアーサーと一緒のフランシスは、ヤンキー相手にメンチ切ってるよりよっぽど良いというが、俺にとってはなんていうの、少し俺に向けられる物が変わってきていて微妙な気分。昔のアーサーはもっと俺のことを見てくれたんだぞ。
「それはお前が成長したんだよ」
「…フランシス、でもあのアーサーはさすがに色呆けだと思うんだぞ」
「耀ちゃんかわいいからねー」
「それには同意」
ふい、と横を向いた俺に向かって、鼻でフランシスは笑った。
「アルはまだお子様だねぇ」
「お子様でもいいんだぞ」
まだ高校生だからと、胸を張ると、サボるなよーとアーサーから野次が飛んだ。さっきまでケータイを見てにや付いていたのにもう仕事に戻っている。変わり身が早い、そしてアルフレッドから目を離してくれない。アルバイトだって、他の場所でやりたかったんだけれども、やりたいと言い出したらここしか許してくれなかった。それほどにまで過保護なのだ。一緒に住んで居ないくせにと、悪態をついたら、それは俺の生活がお前にとって良くない物だからだとか言うし、まぁ、寮のある学校を選んだのは紛れもない俺だけれど。
「アル、」
「なんだい、フランシス」
「アルはお前に会って少し丸くなった。耀ちゃんと会って更に丸くなったんだ」
所詮義兄弟、それで済ませてしまうにはもったいないほどの愛情を注いでくれた義理の兄には正直感謝はしている。まぁ、俺が小学校のときだけれどね。何かに付け俺のことを心配するアーサーは弟離れが出来て居ないと揶揄されるが、もしかしたら、恋人にまでヤキモチを焼くなんて俺のほうが兄離れできていないのかもしれない。
「納得してないみたいだね」
「…」
「じゃああとひとつ、優しいお兄さんが教えてあげる。」
「なんだい?」
「アーサーはこの間株で一山当てたから別にバイトする必要なんてないんだ。本当は課題をやらなきゃいけないんだよ。でも、アルが心配だからバイトに来ている。どう?兄離れできそう?」
「…学業は優先してもらわなきゃダメなんだぞ」
隠れた努力を見せ付けないところがむかつく。いつまで大人ぶっているんだか。
「もう俺は高校生なんだぞ」
恋人との時間ぐらい、増やしてあげたい。
作品名:閑話休題【腐向けAPH】 作家名:kk