閑話休題【腐向けAPH】
参
呼ばれて、「車で来るある」と言われて来てみれば、言われた場所に居たのは、ぐでんぐでんに酔っ払った変態眉毛と、耀さんでした。カークランドさんは、殆ど呂律どころか、真っ直ぐも立っていられない様な状態で、意識朦朧、今ならば力の無い私でもビルから突き落とすぐらいは出来そうです。犯罪なのでやりませんが、
「…あなたは私を何だと思っているのですか、耀さん」
「悪いとは思ってるあるが…菊が一番来てくれるあるね」
それは褒められているのか、それとも、貶されているのかが良く分からない。確かに耀さんが切羽詰った様子で電話を掛けてきたら、家なんか飛び出して出て行きます。とは言う今も、やりかけのギャルゲーを放ってここまできたんですから、私の中に置いて限りなく耀さんの優先順位は高いのであります。
「乗って下さい。その眉毛以外」
「…だめある」
車の中にはいってきて分かった。耀さんもそれなりに酔っているのだ。変態酒乱眉毛だけではない。ほんのりと赤くなった頬と首にかけてのラインが見えた。暗がりでは見えなかったとろんとした目が菊の方を直接見た。
「…あさも一緒に帰るある」
「いやです」
「我はあさがすきあるから、一緒に帰るある」
何のために菊を呼んだあるか!と言って、朦朧とした眉毛を車の中に無理やり放り込んで(その際に激しく鈍い音がしたが、己は何も痛くないし、コレは自分の車ではないので無視をする)自分は助手席に入り込んでシートベルトをした。昔から、妙に強引で自分のこだわる事となると絶対に一線は譲らない。酔っ払うと更にそれが激しくなることを思い出した。あの電話の様子では素面だと思っていたのに大間違いだったようだ。
「私、彼のこと好きではないんですけれど」
「我は好きある」
素面では絶対に言わない台詞をさっきから連発している。所謂デレというものであろうか。以前、涙目になってカークランドさんちのソファに座っていた姿を思い出した。そのときとは全く違う堂々とした姿である。
仕方なく車を発進させると、機嫌よさそうに喋りだした。後部座席に微妙な姿勢でいるのはあの眉毛である。すっかり眠ってしまったようで寝息が聞こえた。確かは吐き癖は無かったと思うので、そのままでよいだろう。
「あーさーは我にご飯奢ってくれたある」
「良かったですね」
「でも金払う前に出来上がったあるから財布から拝借したあるー」
作品名:閑話休題【腐向けAPH】 作家名:kk