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大きなシオン ~自分探し・成長編~

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昼休みが2時間。休日は週1日だけ。
身体を動かして、仕事に没頭するのも新鮮だった。仕事終わると先輩スタッフと他愛の無い話。慣れてくるうちに、深い話もしてくれた。
ここで終わるつもりのない人がほとんどだった。(店長はわかない。)
「本部勤務なる。」「自分の店を出す。」「ラーメンで終わらない。」
自分をしっかり持っていた。毎日目のまわるような仕事しながら色々考えている。
初めて仕事について、そこしか見てない俺とは違う。大人だなあと思った。
目一杯身体使って、くたくたになって眠る日が続いた。
店に来ていた女子高生に告られて付き合い始めた。クリマスのプレゼントにペンダント買ったけれど、忙しすぎて彼女に会う時間がもったいなかった。別れるのに思い出の品物渡すのも相手を苦しめるだけかなって、ペンダントは渡さずに別れた。
「これあげる。」母にペンダント渡した。
「これ、私からお金借りて彼女のために買った物でしょ?」
「もう、別れたから。」
「別れたのはそちらの事情だろうけど、Tiffanyのハートのペンダントはねえ~私の年齢がするものじゃないなぁ。まあこれでお金返した事にしたい訳だ。調子のいい奴~。」苦笑しながら母は受け取った。「ドラマとかであるじゃない?彼女のへのプレゼント買うためにバイトして、バイト代全部つぎ込んでなんか買ってやるとか。竜にはそういう気持ちないの?」「そうしたい彼女が現れたらね。」
「自分のお金は自分に使う。そういう子だったよね~竜は昔から。子供じゃないんだから親掛かりから卒業してくれるとありがたいんだけどね。」
「っていうか、苦労かけたねえとか言って、親にプレゼントする気無いのかなあ~。」「そのうちにね。温泉旅行でもプレゼントするよ。」「何時になるかわからないけど、楽しみに待っている事にするかな。」
まだ「親に感謝」を考える余裕は無かった。

ラーメン屋半年。継続できた事に、なんと言うか~少し自信がついた感じかな?

「竜は学校祭とか運動会とか経験ないでしょ?高校生活というものものを経験させてやりたいんだよね。もう1回学校に行ってみない?」「せめて高校くらい卒業していないと。先にいって自分がやりたい事ができた時、絶対後悔するよ。」
シオンからの電話だった。
「窮屈ではない学校を探しておいたからね。」
シオンから学校案内のパンフが何枚か送られてきた。それは地元にはない学校だった。
違う土地でなら、もう一度行けるかもしれない。
自分はラーメンを極めるほど好きではない。職人になるほどの根性はない。
アパートを引き払い、受験準備のため、俺は自宅に戻った。

自分でもPCで調べてみた。
中卒でも行ける学校見つけた。ソフト作るのに役に立ちそうなアニメの学校。
「入学金と授業料で年130万円?!却下!!130万かけて遊ばせる余裕なんて無し。
この学校行ってなんになるの?この学校を出たからと言って、何人がその道行けると思っているの?130万溝に捨てるようなものだよ。少しは親の負担も考えなよ。高校って言ったでしょ?ハア~・・・。竜の思考回路どうなっているの?頭痛くなってきた~。」
シオンにメッタギリされた。

東京の単位制の学校に入学した。
アパートから歩いて20分。新鮮だった。俺は都会向きかも!
いつの間にか彼女ができた。大学生。背が高くて、黒髪。シオンにちょっと似ていた。
彼女は色々な事を知っている。彼女に教えてもらってFXに興味もった。さすがに俺のレベルでは実行までは行けなかった。悔しかった。いつか彼女に追いつき、その上を行こうと思った。彼女とずーっとPC使っていて寝不足で学校に行けない事もあった。知らない事だらけで、彼女の話は新鮮だった。彼女は俺のアパートから大学に行く事が多くなった。
「竜、あんたどうしたの?身体の具合でも悪いの?」親から電話が入った。
休みがちな俺を心配して、担任が家に電話したらしい。
「ちょっと疲れていただけ。明日は行くから大丈夫。」彼女の事は親には言わなかった。
悪い事しているとは思わなかった。外で遊んでいるわけではない。彼女に教えてもらいたい事はまだまだたくさんある。「たまには学校に行くか。」そんな程度だった。

彼女が大学の単位が足りなくて卒業があやしくなったと言った。
「なんで?考えて俺の所に来てたんじゃないの?」「だってさぁ~竜とずっと一緒にいたいの!卒業できなくても仕事につけるスキルはあるから大丈夫だよ。竜は~心配しなくていいのです!」彼女は笑ったけれど、俺は笑えなかった。もっと頭の良い女だと思っていた。彼女は家に帰らなくなった。なんとなく流されて彼女と一日アパートで過ごす毎日になった。俺の単位ももちろん取れなくなった。「これから頑張っても、もう進級できなくなるのギリギリです。毎日学校に来れますか?」担任から何回も電話が入る。


「竜、シオンが入院した。すぐ帰ってきなさい。」
父親から電話が入った。「家に帰る電車代がない。」「何言ってるんだ!すぐ金入れるから必ず帰って来い!!」温厚な父親が珍しく怒鳴った。

駅まで迎えに来た車に乗った。自宅とは違う方向に走って行く。
「どこ行くの?」「シオンの病院だ。母もそっちのいる。」なんかすごいもやもやが頭に広がった。二時間くらいかかって大きな病院に着いた。

4人部屋の窓際。前よりもっと白くなった顔でシオンが眠っていた。
「シオン、今眠ったばかりだから、もうちょっと待っていてね。」
寝不足?顔色の悪い母親が言った。
俺は病室から出た。ナースステーションと書かれたオープンスペースで忙しそうに白衣が動いていた。ぐるっと歩いてみた。広かった。どんな病気の人が入院しているのかな?
静かすぎる。逃げ出したっかた。シオンの病室に戻った。

「竜~、来てくれたんだ。なんかこんなになっちゃったよ。」弱々しいシオンの声。
高い熱が下がらなくて、大きな病院で検査しなさいと言われてここに来たら、すぐ入院させられたって言った。「竜、学校どう?ちゃんと行ってる?」「東京の一人暮らしは寂しくない?」「シオンはあんな空気の悪い所とても暮らせないなぁ。」
肩で息しながら俺に話しかけるシオン。

母親はずっと付き添うと言った。
帰りの車の中で父親が言った。
「竜、東京の学校辞めて家に戻ってくれ。」俺は迷いなく頷いた。

父親は仕事が終わると毎日病院に行った。始めの頃は俺も一緒に行った。
眠っているシオンの顔見て帰ってくる事もあった。
恐くなった。行くたびに変わっているシオンの顔。俺は部屋にこもっている。
「シオンは竜が来るの待っている。お前に一番会いたいんだよ?なんで一緒に行かない?」「次は一緒に行くから・・・。」

今日はシオンの検査の日。
車椅子に乗っているシオンはいつもより元気そうだ。
「車椅子いいなぁ。俺も乗ってみてぇ~。」思わず言葉に出た。
「じゃあ竜が代わりに病気になってよ。」シオンは怒っていた。誰も何も言わなかった。
夕方、母親がまともなご飯食べていないからと、病院のレストランで一緒に夕飯食べに行った。ハンバーグをガツガツ食っている俺に母親が言った。