喪明曲
あの星を全て数えた人はいるのだろうか。全ての星の名を呼べる人はいるのだろうか。
おそらくは居ないだろう。数多の星々の中、埋もれているものが必ずある。
僕はそれに、なりたくはない。
だったら少し数を減らそうか。明るい星など消してしまおうか。
そうすれば隠れていた星がよく見えるようになるかもしれない。
月にはなれないのだから、せめてこの夜空の中、燦々と煌めく一等星になろう。
手始めに消せなければならないのは、強く輝くあの星。自分にはない光を持つあれだ。
それはもう、最初から決めていたこと。
20080425