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レイ・イチ ~けったいなお人は好きですか~

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「うん、まあねー。でもレイ、人から貰ったものって、物でも食べ物でも実はだめなんだよねん。」
「ちょ、何言ってんだよっ。みんな心込めてんだぞ!?ふざけんなっ。そんななら最初から受け取んなよっ。最低じゃないかっ。」

イチは腹を立ててまくし立てた。

「・・・んーそうだね。そっか。まあどうせお付き合い的な事は断ってんだしー、そうだよね。うん。断る。」

少し拍子抜けするくらいあっさりとレイが言った。

「・・・ごめんね?」

なんだか淋しげな笑みを浮かべた後、レイはじゃあねと去っていった。

「・・・なんだよ・・・。」

ちょっと言いすぎたか・・・?

でも人が心を込めて作ったものとか陰で捨てるなんて酷いじゃないか・・・。
でもそんなの俺がいちいち言うことでもないのか・・・?
ていうかなんで俺がこんなに罪悪感感じなきゃいけないんだ!?

ウガーッとイチは1人暴れたあとむなしくなり、ちょっと軽いもんでも食べようと酒場に向かった。
レストランでも良かったが少し離れているし、何だかもう、めんどくさいと少し投げやりぎみだった。

「よう、イチじゃねえか。レイとの話はついたかあ?」

ビクトールがのん気に声を掛けてきた。

「あー?ん、まあな。」

イチはふう、とため息をつきながら酒のあてだけを持って腐れ縁達のいるテーブルに座った。

「なんだあ?元気ねえじゃねえか。なんかされたか?」

何か・・・。

ふと先程された事を思い出してしまった。
カアッと顔を赤らめながら慌てて否定する。

「なっ何もされてねえよっ。つかあいつ何なんだよ。いらないくせに人から物貰うなってんだ。」

絶対何かされたなと2人は内心思いつつ何も突っ込まないことにした。

「って、ああ。貰っても捨ててんだろ?まあ皆知らない事だけどな。・・・実は昔それであいつ死にかけた事があるんだよ・・・。」

フリックが内緒だけどな、と言った。

「え・・・?」
「まだ解放軍のリーダーになって間もない頃だった。そん時手作りのお菓子をあげた子っていうのは、その前から何度も見かけていて、いつも控えめそうに挨拶する子だったんだぜ。だからレイも特に不審に思わず、その菓子をせっかく作ってくれたんだしと口にしたんだ・・・。」

するとそれにはどうやら毒が入っていたとの事だった。
それもかなり強力なものだったらしい。

口にしてすぐに異変を感じたレイは即座に吐き出し何とか自力で水道のところまで行き水を大量に飲んでは吐きを暫く繰り返した後、どうにか人目のある廊下まで出ると意識を失ったとの事だった。
その時の医者が相当な腕前だったという事と、レイ自身の迅速な対応が良かったらしく何とか一命を取り留めたんだとフリックが静かに話してくれた。

イチはそれを信じられない思いで聞いていた。

「その時の少女は捕まったんだがすぐに自決したらしい。まあ多分帝国側の忍びだったんだろうな。」
「さすがのレイも少し落ち込んでたよな、あん時。まあその前後にも何度か貰った手紙に毒針が仕込んであったとかな、色々あったんだよな。」

ビクトールも思い出したようにうんうんと頷きながら言った。

「それからだな。レイが貰った物を処分するようになったのは。それなら貰わなきゃいいじゃないかって言った事があるんだがな、もし何か毒物とかを含んだその物を他の誰かが手にしたら危ないからとか言ってたな。」
「あ・・・。」
「今もそうだったんだなー。まあ今はもう癖のもんだろうがな。」

つまみには手をつけず、イチは駆け出していた。
おい、どうしたんだという2人の声はもう届いていなかった。

「なんだよもう。なんだってんだよっ。くそっ。最低なのは俺だ。事情も聞かないまま罵倒してっ。勝手に押し付けてくるもんだってのにまるであいつがすべて悪いみたいに言ってっ。あいつがそんな事、わけもなくするはずないってなんで気付かないんだよっ。俺・・・、俺が勝手にイライラしてたんだよっくそっ。あーもうっ。くそー、どこだよ。どこにいんだよバカっ。いつもならいなくていいのに付きまとってくるくせに。どこ行っちゃったんだよっ。」

探しても見つからない。
でもこのままにしておきたくない。
このままなんて絶対嫌だ。

イチはルックのところに行った。

「・・・ルックっ。レイの紋章の気配分かるんだろ?お願いっ。レイんとこまで飛ばしてくんない!?」
「ちょ、何なのさ、いきなり。」
「いいからっ。頼むっ。」

余りの剣幕に押され、ため息をつきながらもルックは呪文を唱えだす。

あのバカならもう自宅だよという声を聞きつつ気付けば目の前に唖然としたレイの顔があった。

どうやらレイの部屋の中らしく、ソファーでお茶を飲んでいるレイの上にご丁寧にも落としてくれやがったようであった。

「これは貸しだからね。」

ルックはどちらに言ったのか、ぼそっと独り言をつぶやいた。