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臨帝小ネタ集:11/11追加

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節分はとっくに終わりました



「……なんで豆?」
「スーパーで安売りしてて」
 臨也さん、なんか微妙な顔をしてる。でもここで、常にストックは切らさない栄養ドリンク出したところでこの人は微妙な顔をするんだろうなあと思う。何にしろ、臨也さんにとって僕の食生活というのは微妙な顔をせずにはいられないものなんだなって自覚は、まあ一応ある。
「節分のだね」
 一緒についてきたぺらっぺらの鬼のお面に視線を遣って臨也さんが言う。そうですね、売れ残りですから。
「夕飯を栄養ドリンク一本で済ますよりは健康的ではあるかな……」
「ですよね」
「はい、そこで得意そうな顔しない。君くらいの年頃って、なんかこう、食べても食べても足りなくない? よく生活できるねそんなんで」
 だから貧弱なんだよと最後に余計な一言。僕だって分かってはいるけど、元来そこまで食事にこだわるタイプでもなかったし、そりゃたまには肉でも食べたいなーとか思うけど切り詰められる部分は切り詰めてかないと。不測の事態に備えておきたいし……と、日々酷使しているパソコンや型の古い携帯電話を見て気を引き締める。
「えっと、臨也さんも食べます?」
 緩く首をかしげた後「ん」と突き出された手のひらに袋の口を寄せる。ころりと出ていったそれを臨也さんががりがり食べている構図は、なんかアレだ。折原臨也と節分の豆。うん、おかしい。
「なに笑ってんの」
「いえなんでも」
 もらうよーとまた袋に手を伸ばす臨也さん。お腹空いてたのかな? お茶しか出してない僕もどうかとは思うけど、この人の事務所みたいに来客用のお菓子なんて用意してるはずもない。ここはただのギリギリ生活高校生の家だ。
「臨也さんて豆まきしたことあります?」
「俺を何だと思ってるの……あるよさすがに。投げる方も投げつけられる方も経験済み。実家いた頃にね」
「じゃあ今はもうしてないんですか」
「してないよ。一人暮らしでする方が珍しいと思うけど」
 ばりばりぼりぼり豆を噛み砕く音の合間に会話をする。日に焼けた畳に座って、寒いのかコートを着たままの臨也さんと売れ残りの豆を食べながら、裏も表も関係ない話をしている。おかしなおかしな、ただの日常。
「来年は一緒にやりませんか。豆まきとか、恵方巻とか」
「豆まきは後片付けが面倒だからやだ。恵方巻は顎が疲れるからやだ」
 こんなちょっとした提案をにべもなく断られるのは慣れた日常。それから、
「わざわざ用事作らなくても追い返したりしないからさ、来たければ来れば?」
 利害が関係しない事柄では、なんだかんだで臨也さんが折れてくれるのも、やっぱり日常だ。

作品名:臨帝小ネタ集:11/11追加 作家名:ゆずき