二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

臨帝小ネタ集:11/11追加

INDEX|6ページ/23ページ|

次のページ前のページ
 

ほっぺたん



 ぺた、と触れたものがなんなのか、一瞬判断がつかなかった。
「やっぱり熱がある」
 僕の頬にくっついているのは、えーと、臨也さんの頬で、えっと。
「……こういうときって手を額に当てるか、もしくは額と額をくっつけるか、じゃないですか?」
 一番確実なのは体温計だけど。混乱しすぎて回らない頭のわりに随分と冷静な意見を出すなあと人事のように思う。
「え。あ、あー」
 擬音でもつけるなら「あちゃあ」って感じの臨也さん。こういうのはうれしい。だって失態を取り繕わない誤魔化さない、そんな態度を誰にでも取るような人ではない。むしろ常にいつだって息をするように人を煙に巻いてばかりの臨也さんが、明らかに今自分は何らかの失敗をしたって事実を偽りもせず僕に差し出している。これをうれしい、って言っちゃうのは趣味が悪いかもしれないけど。
「臨也さんちでは頬で計るんですか?」
「俺んちが、じゃなくて俺と妹達が、だね。体調崩すときは二人揃ってってことが多くてさ、同時に計るのに丁度良かったんだよ」
「頬が?」
「頬が。ほら、喋ってないで着替えて寝なよ。今日は泊まっていくといい。明日の朝になっても熱下がらなかったら病院連れてくから」
「す、すいません」
「気にする必要はないよ。食欲ある?」
「少し」
「おかゆでも作るかな。帝人君は寝室行ってて。シャワー使いたいなら使っていいから」
 言うだけ言って台所へと消えてしまった臨也さん。なんだかとても手慣れてる。いや、実際慣れているんだろう。なんとなくおかしくなって笑ったら軽く咳が出た。あのきれいな顔が見えなくなった途端に視界もぐらりと回り始めて、現金な自分の体の反応に今度は声を出さないようにして笑う。

 今の僕よりも年下の臨也さん(どんな感じだったんだろう)が、小学校にも上がっていないような小さな二人の女の子の前にしゃがんで、その子たちは両側から臨也さんの頬へ自分の頬を押し付ける。ぺたん。熱がある、って眉を顰めた臨也さんが右手と左手で二人の手を引いて、母さんこいつら熱がある、とか。……そんな臨也さんに会ってみたかったな、なんて想像をしながら寝室へと続く階段をゆっくり上っていった。

作品名:臨帝小ネタ集:11/11追加 作家名:ゆずき