二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
黒鳥 キョウ
黒鳥 キョウ
novelistID. 12283
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

黒猫のワルツ

INDEX|5ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 






――黒猫のワルツ


不思議との遭遇






俺は今、不思議体験真っ只中だった。
世間は狭いが、世の中は広い・・・成る程、よくわかったきがする。

科学では説明つかない事象なんて、案外身近に転がっているものだ。

例えば、怪我させた少年が実は人間ではなく、猫又とかいう猫の妖怪だったり。

例えば、よく話す友人がこれまた人間ではなく、デュラハンという首のない妖精だったり。

例えば、その猫又とデュラハンが旧知の仲だったり。

世間は狭い。
しかし、世の中は広い・・・。


・・・・・・・・なんか、悟ったきがした。


俺が悟っていると、破壊されてないドアから(玄関とリビングのドアは俺が破壊してしまった・・・)新羅と件の猫又が入ってきた。
単なる猫にしか見えないが、そのゆらゆら揺れる尻尾は2本ある。

『帝人!!大丈夫か!?』

セルティがソファから立ち上がって、新羅に抱かれている猫又に駆け寄る。

「心配ないよ、セルティ。妖怪なだけあって頑丈だね、帝人くんは。」
『心配かけてすみません。ちょっと肋骨に罅が入っただけなので、2、3日もあれば完治しますよ。』

猫又はセルティの手に一度擦り寄ると、なんでもないように言った。
しかし、居た堪れないのは俺だ。
事実、俺は加害者で、猫又は被害者だ。
謝って許されるとは思はないが、謝らないとな・・・。

「その・・・。」
『ああ。貴方も、そう気に病むことはないですよ。避けれなかった僕にも非がありますので。』

俺が何か言う前に、猫又は告げる。
本当に気にしていない声だった。

「いや、そういう訳にはいかないだろ。俺が、悪かったんだし・・・。」

ああくそ、そうじゃねえだろ。
どうして、思っていることの半分も言葉が出てこないんだ、俺は。
口下手な訳でもないのに・・・ボキャ貧ってやつだからか・・・?

気まずげな俺をセルティが座らせる。
新羅も猫又を抱いたまま向い側に座る。

『ずるいぞ、新羅!!私も帝人を抱っこしたい!!』
「セルティが帝人くん抱っこしたら、目の保養・・・正に福眼だね!!」

膝をぽんぽん鳴らして猫又を呼ぶセルティと、嬉々として猫又を渡そうとする新羅。
どうしたもんかわからず、座って眺めていた俺に、ふと猫又は視線を寄せる。
なんだ?
俺が猫又を見ていると、猫又は新羅とセルティを交互に見た後、新羅の腕からひらりと逃げる。

「あ、帝人くん?」
『ああ!!ずるい!!』

猫又は、なんと俺の膝に着地したのだ。
え、な、なんでだ??

『すみません、膝借りますね。』
「え、あ、ああ・・・構わねえけど・・・。」

重みなど殆ど感じない猫又を膝に乗せ、俺は(間抜けにも)ぽかんと返事を返す。
猫又は我が物顔で、俺の膝に寝そべる。

『帝人!?わ、私じゃ不満か!!?』

ショックを受けたように高速でPDAをたたくセルティに猫又はちらりと視線をよこし、えらく老成した態度で返す。

『ひとえに広さを選んだといっておきましょう・・・。ま、後はお節介ですかね・・・。』

お節介の下りで新羅に視線をよこした。
新羅はうっかり吹きかけてた。
・・・・汚ねえな。
セルティは小首をかしげて(仕草、だがな)『なんの??』とPDAに打ち込んでたが。
それはさて置き・・・。

「な、なあ。」
『はい?』
「・・・・・・・・・・・・撫でてもいいか?」

笑うことなかれ。
はっきりいうと、俺は小動物とか結構好きだ。
いや、大好きだ。

・・・・・・・・どうせ、似合ってねえけどよ。
いいだろ!?
別に、好きなのは自由だし。

しかし。

俺は動物に懐かれない。
動物だけではなく、小さな子供からも、好かれた試しがねえ。
それは、本能に生きる動物やよりそれに近い子供には、俺の力がなんとなくわかるからなんだろうな。

本能的に危機感を、危険性を理解して、近づかない。
それは、仕方ないんだろう。

でも、傷つかないわけじゃない。
もう、諦め入ってるから、そう悲観してるわけじゃねえけどよ・・・。

だから、こうして、自ら俺に近づく、しかも膝に乗ってきた動物は初めてだ。
新羅のところに行くまで抱いてたのは事実なんだが、あんときゃパニくってて、なんだかわからなかったからな。

改めて動物と触れ合えるかもしれない・・・!!
そういう欲求が言葉になって出てきた。

しかし、やっぱり嫌だろうか。
・・・嫌だよな。
俺、こいつに怪我させたし。
俺が、ひとりマイナス思考に陥りかけていると、猫又は大きなボタンみたいな目をぱちりと瞬かせてから言った。

『ご自由に、どうぞ。』

猫又はゆらりと尻尾を揺らして、やっぱりなんでもないように言った。


この日、初めて俺は、動物と触れ合った。





◆後書き◆
静帝フラグが立ちました。
ソレっぽい要素がようやく出てきました。
すみません、スローペースで。


作品名:黒猫のワルツ 作家名:黒鳥 キョウ