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黒鳥 キョウ
黒鳥 キョウ
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黒猫のワルツ

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――黒猫のワルツ


暴力青年と黒猫と帰り道






結論から言うと。
俺は黒い猫又―帝人を連れ帰る事になった。

いや、正確には許されたと言うか何と言うか・・・だがよ。
渋っていた新羅とセルティは、帝人の一声で結局折れたわけだし。
(それでも新羅ん家を出る時、再三新羅からは釘を刺され、セルティからはささやかにエールを送られた。)

帰路に着きながら、俺は自分が浮かれているに気が付いた。

・・・実は、憧れてたんだよ。
動物のいる生活ってのに。

ガキの頃から動物を飼ってみたいとは思ってたんだが・・・俺は、こんなだしよ。
うっかり力加減を間違えて潰しかねない。
だから、必然的に疎遠になってた。

しかし、今、俺は黒猫を抱っこしている。
・・・いや、正確には猫又っていう妖怪なんだが。
このさい、その辺は気にしねえ。

にしても、こいつ器用だな。
帝人の尻尾は2本ある。
なのに、今ゆらゆら揺れてる尻尾は1本だ。

帝人曰く、『これくらい当然でしょう?』だとか。
・・・当然か、そうか。

池袋の通りを歩いていると、ふと帝人の尻尾が俺の腹の辺りをぴたぴた打った。

「ん?どうした?」
『いえ・・・なんか、さっきっから、視線を感じるんですが。』

こんな従来で猫が話して大丈夫なのか。
最初はそう思ったが、帝人は『貴方にだけ聞こえるようにする事くらい、簡単ですよ。』としれっと言ってた。
だから、気にせず会話できるんだが。

それより・・・やっぱ目立つか。
そりゃ、そうだよなぁ・・・。

なにせ、俺が、『平和島静雄』が。
猫を抱っこして歩いているんだからよ。

いつもの怯えた目じゃねえけど、おかしなものでも見たようにぎょっとしてみんな振り返る。

・・・・似合ってねえよ、どうせ。
悪かったな!!

一番ムカつくのは、猫を潰すんじゃないかと言う、ハラハラした目だ。
潰さねえよっ!!
・・・・・ったく。

「そりゃ、あれだろ。俺みたいな"化け物"が小動物を抱えて歩いてんのがおかしいから、みんな見てるんだろ。」

「いつ潰さねえかって心配も含めてよ。」と、米神に青筋が浮かびそうなのを感じながら、帝人に答えた。
帝人は『はあ。』と大きな目を瞬かせて小首をかしげた。
・・・・可愛いなあ。
こいつの可愛い仕草見てると癒される。
米神の浮かびかけた青筋がひっこんでいくのを感じつつ、俺は緩みそうになる頬を引き締める。
こんな従来でふやけた顔はしたくねえ。

『馬鹿馬鹿しいですね。人間は賢く力もあるのに、悲しいほど察しが悪いので仕方ないんでしょうが。』

以外に毒舌な帝人が、やれやれと言わんばかりにため息混じりにもらす。
なにが、と聞く前に帝人は言った。

『本物の化け物である僕から見れば、静雄さんはただ力が強くて頑丈なだけの人間に過ぎません。』

帝人は、まるで教科書でも朗読するような声で言った。
それは、当たり前のことを口にした自然さだった。

それでも、俺の歩みを止めるには十分すぎる威力のある言葉だった。

・・・・・そんな風に言われたのは、初めてだった。
何時の間にか諦めてたけど、ずっと、欲しかった言葉だった。
それを、当たり前のように言ってもらえた・・・。

柄にも無く、熱くなる目頭を意識しないために、俺はぎゅっと目をつぶる。
・・・・くどいようだが、ここは人通りの多い従来。
絶対泣かねえ。
恥かしいのもあるけど、更に変な目で見られるのは御免こうむりたい。

『どうかしました?』

帝人の声に、俺は目を開ける。
眼前には、帝人の瞳がある。

ボタンみたいだ、と思ってたけど、こうして見ると、黄色い水晶みたいだな。
縦に割れた瞳孔にじっと見詰められて、俺は照れくさくて、ついと目を逸らす。

「・・・なんでもねえ。」
『そうですか。なら、早く行きましょう。お腹減りました。』

帝人は俺の腕を尻尾でぴたぴた叩いて、先を促した。
おいこら、俺は馬車馬じゃねえんだぞ。

ぐりぐりと頭を撫でながら、俺は歩き出した。


意識しても引き締まらなかった口元に関しては、この際ノーコメントと、無視しながら。





◆後書き◆
お家に帰る途中です。
妖怪パロをやったら、やっぱりどうしてもこの台詞を言わせたかった。
念願の台詞を言わせられて、満足です。
ちなみに、静雄さんは小声で話してますよ。

作品名:黒猫のワルツ 作家名:黒鳥 キョウ