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みとなんこ@紺
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それは優しいだけのうた

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――――呼び声に引かれて、もう一人の遊戯はいつぞやのスタンドカフェに降り立った。

する、と近付くと、気配に気付いたのか、御伽が振り返る。
「…やぁ」
そこにいてくれているのかな。
「聞いてくれてる事を信じる事にするよ。僕が言いたいのは一つだけ」


「――――泣いてるよ」


目を伏せて小さく彼は呟いた。
いつもは笑ってくれるけど、少しだけ、今はからっぽだ。
状況が変わりすぎた中で、彼は慣れるのは早かった方だと思うけど。
「君がいないと、いつまでも泣きやまないよ。彼の心に降る雨は、僕らの誰にも止められない」
笑顔で隠してても、無理をしているって、僕らは判るんだ。
だって、ずっと長い間、そんな人たちを抱き締めて、慰めてきたんだから。
「笑っても、怒っても、強い願いを決めてあったとしても。泣かない理由にはならないよ」
心が傾く事を止めるなんて出来ないんだから。


「…抱き締めてあげなよ」


それが出来ないのなら、彼の悲しみを少しだけ貰っていって。
・・・それが、君たちの仕事だろう?
言った本人の方が痛そうに笑って、御伽はそろそろ行くね、と背を向けた。
ブランキーの散歩、一緒に行くって言っちゃったから、きっと待ってくれてる。

「・・・ああ、そうだ」
しつこいようで悪いけれど。

「…もしもキミがこっちに来たなら、いつか何処かで逢いたいね」

そう言って彼は振り返らずに手だけを振って寄越した。