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それではお元気で(静雄×臨也/鬱)

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シズちゃんの消えたドアの向こうを睨みつけたままで、俺は携帯電話を取り出して
最後の仕掛けをする
ほどなく池袋は大混乱に陥り、少なくとも裏の世界は一ヶ月は機能しなくなるだろう
取立て屋 闇医者 運び屋 数多のカラーギャング達
彼らの記憶からありふれた情報屋一人を消し去るには充分すぎる時間だ
未送信フォルダの最下層、二度と見たくなかった文面を開き、躊躇うことなく
送信ボタンを押す
最先端の通信端末はメールが正常に届いたことを無機質に告げた
これで本当に なにもかもおしまいだ


すべてが終わった時、俺はどうなっているんだろうね
バラバラにされて海に沈むのか 生きたまま埋められるのか 
薬漬けにされて飼い殺されるのか
いずれにせよ、俺がシズちゃんと再会する確率は0でしかない


着慣れたコートに袖を通し、未使用の池袋行きの定期券が入ったパスケースを
お守り代わりにポケットに突っ込む
呼び出しに指定されたのは予想以上に危険な場所だった
俺が最も望まない『死にたくても死ねない』状況に陥るかもしれない
引出しの二重底から拳銃を取り出し、一発ぶんだけの弾を込める
最後の最後で、俺がシズちゃんを想ったりしない様に 未練を残したりしないように
俺は俺に引導を渡してやらなきゃいけない


君のいない現実を知って 俺が壊れてしまう前に