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折原臨也の純情

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帝人が臨也の心に無意識に特大ダメージを負わせてから数日後、帝人はまた電脳世界で情報集めにいそしんでいた。
かちり、かちりとマウスのボタンを押しつつ、流れていくログを整理する。

「・・・また機嫌悪くなってる・・」

折原臨也に関する情報――、それは先に集めたそれよりもさらに機嫌が悪いと噂されていた。
うぅんと唸って帝人は顎に片手を添える。

「やっぱり静雄さんとの仲をもっとちゃんと取り持たないとダメかなぁ・・・」

あれから静雄に会った帝人は、なんとか臨也の良い部分を勧めようとしていた、が、当然無理だった。
何しろ帝人に思いつく臨也の良い部分なんて、顔と食材ぐらいだ。
それも静雄には何一つ関係ない。
説得するのを早々と諦めたが、このまま臨也の機嫌が悪いままでも困る。
彼はダラーズの情報屋でもあるのだから。

「なんとか通常運営に戻ってもらいたいなー・・・八つ当たりをこっちに持ってこられても困るし」

それに、と部屋の中へ視線を移す。
当然そこには誰もいない、が、

「臨也さんずっとここにいたから、なんか・・・急にいなくなられると・・・・・」

その先の言葉を口の中に押し込める。
むぅっと唇をとがらせると、帝人は大きく伸びをして立ち上がった。
行く先は――

++

「あぁもう!うっとうしい!いい加減にしなさい!!」
「・・・・・・・うるさい、黙れアバズレ」
「このヘタレが!」

臨也の事務所はこの数日間ずっと罵り合う声が響き渡っていた。
罵る内容は日々大した変化はない。

「誤解されてるのは明らかなんだから、とっととその誤解を解けばいいでしょう!?」
「・・・どう解けってのさ。俺が好きなのは違う人、って言って、じゃあ誰って話になったら、そこで俺なんて言えばいいの」
「告白しなさいよ」
「・・・・・・・・や、やだ!絶対嫌だそんな情けない告白絶対やだ!!そこで嫌われたらどうすんの!?」
「このまま平和島静雄に片思いしてるって思われ続けるよりマシでしょう!」
「うぅ・・・で、でも・・・・!」

一番お気に入りの盗撮写真を握りしめながら、臨也は鬱々と体を丸めた。
もう一度「情けない」と波江は呟き、山積みになっている書類をなんとか処理しようと手を伸ばした。
波江としても、帝人に『臨也が片思いしている』と告げた結果がまさかこうなるとは予想の範囲外だった。
予想していた流れとしては、『誰に片思いしてるんですか?』『それは君だよ』とスマートに、かつ穏便に、王道的に進むと思っていたのだ。
それがまさかの平和島発言。

(やっぱりあの子どこかおかしいわ・・・)

自分の言葉足らずを棚に上げてため息をつく。
ここ最近の上司の役立たなさにいい加減イライラしてきているのだ。
仕事は溜まる一方で、さらに部屋にカビが生えるのではと思うほどの湿気を一角で発生させている。
このままでは埒が明かない――、ギンッと眼光鋭く波江は立ち上がった。
その物音に膝を抱えたままの臨也が目を向ける。
大股で臨也の元までたどり着くと、ぐわしっとその襟首を片手でつかみ上げた。

「ちょっ!?何すんの波江!!」
「うるさいわよ、フラれるなら潔くきっちりとフラれて来なさいよこのヘタレ!!今日は告白してくるまで家には入れませんからね!!」
「お、横暴!俺、君の上司だよ!?っていうか何その母親みたいなセリフ!」
「黙りなさい!!」

ズルズルと火事場の馬鹿力のごとく玄関まで成人男性を引きずっていく。
喚きながら必死に柱や扉に臨也もしがみつくが、そのたびにもう一方の手で叩き放される。
あまりにも見苦しい姿だったが、お互いにそれを意識することなく(むしろ意識したくなく)ぺいっと玄関に放り出された。

「ま、待って!ホントに待って!!」
「告白してこなかったら、あんたの帝人君フォルダ、消すわよ」
「・・・・は、ははは、何言ってんの。バックアップは完璧に・・・・」
「バックアップ用のメモリーはここよ」
「マジで!?え、ホントにマジじゃん!何それ、何してんの!!?」

臨也が万全の状態ならともかく、今の荒れ果てて死んだような男からメモリーを探し出すことなんて簡単だった。
それを見せつけつつ、仁王立ちで宣言した波江は無情にもそのドアを閉じた。

「な・・・波江ぇーーーーっ!!!」

まさに叩きだされた臨也は、絶叫とともに地面に崩れ落ちた。

作品名:折原臨也の純情 作家名:ジグ