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【土沖】土方にあげたい沖田と扉を開けない土方のハロウィン

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「でも、あんたが爆弾ごときで死ねる訳ねェでしょう。図太いなあ。さすが討ち入りの前だろうとなんだろうとパトカーの中でぐーすか居眠りこけるお人だィ」
「あのなあ!」
「それによく見なせェ、爆弾は手作りのにせものでさァ。あんたを殺してすべて手に入れなきゃならねェってのに、自爆テロなんか起こしたってしょうがねェや」


指差すと、視線が追いかけて、つるつるした白い花瓶を通り抜け、その横へ転がる爆弾の屍を眺める。
導火線ごとすっかり水浸しになり、これでは中身ももう駄目だろう。ひとまず爆弾でないことが分かったらしい土方は、すぐに怪訝そうに眉間へ皺を寄せた。


「……お前、何を仕掛けてやがった」
「これはねえ。中にいっぱいマヨネーズが入ってて、爆発すると飛び散る。トリックオアトリート」
「アホか、メリークリスマスみたいな用法で使うな、というか食いもんで遊ぶな!」
「何言ってんでィ。土方さんが犬のように這いつくばって、机から畳まで全部舐め取ればいい」
「死ね。お前もう本当に四回は死ね。しかもそれお前も巻き込まれるんじゃねーか」
「そこはそれ、そのままマヨネーズプレイでさァ」
「――――――」


真顔で言うと土方は眉を顰め、それから、両手でこめかみを強く押さえ込むようにして俯いた。


あれあれ、これはどういう気持ちのリアクションなんだろう。沖田の言葉にうんざりしてすべてが嫌になったのか、あるいはまんざらでもないと思った自分への自己嫌悪なのかよく分からない。とりあえず寒い。

「着物借りやーす」

捕まっていた手首が離されたのだから、土方がなんだか色々とぐるぐるしているうち、適当に暖かい服を見繕って着替えてしまうことにする。四つん這いで箪笥に近付くと水の粒が畳へ散らばったが構わずに、あれこれ探してみていたら、三段目の奥から最近はあまり着ているのを見かけない濃紺の着流しを発見したので引っ張り出した。

おうとつのある生地は目が粗く、触れると少しざらついていたが、布はしっかりと上等のようで寒くはなさそうだ。土方に背中を向けたまま帯を解き、濡れた着物と袴はさっさと隅にやってしまい、襟を合わせたが案の定すこし袖が余る。




くちびるを尖らせていると、ふと、水溜りの中に桔梗の花が落ちていることに気が付いた。