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二十四時間戦争コンビ詰め合わせ

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臨也が女子高生の話




 高校生だと告げれば向こうは簡単に乗ってきた。これだから家族にも冷たくされて会社で働き蟻の如く動き回るサラリーマンは扱いやすい。万単位の金まで払って一時間女子高生と遊べるだけで満足なのだ。本当に便利な生き物だと思う。
 今も時計台の前でああやってそわそわしながら待っている。恋愛というのは単純なもので、騙されたとも知らずに見ず知らずの女をとの出会いを待ち望んでいるのだ。いや、全てを承知であそこに立っているのだろう。所詮は一夜の夢。だからそのスリルを楽しむのだ。お互いに。

 最初は控え目な態度で接してみるべきだろうか。悩んでいると、男の体があらぬ方向から飛んで来たゴミ箱によって吹っ飛ばされた。公園の茂みに埋もれて気絶してしまったサラリーマン。不可思議な現象に逃げ惑う野次馬。
 何故かゴミ箱が飛んで来たかなど知る人物は自分しかおらず、何者の仕業かもすぐに分かった。まずいなあ、と臨也はその場から立ち去るべく後退りを始めた。

「援交の邪魔をして悪かったなぁ」
「……本当にね」

 あと数秒早かったらなぁ、と臨也は舌打ちをした。眼前にはこめかみに青筋を浮かばせている静雄が立ちはだかっている。今日は生憎ナイフを一本しか持ち合わせていない。サラリーマンに暴走された時の対策としてであり、まさかこんなラスボスと戯れるつもりではなかったのだ。これと顔を合わせないために、待ち合わせ場所もわざわざ池袋から遠く離れたここにしたというのに。
 しかも、ぐっと腕を掴まれているので動けない。女の腕は細いのでもう少し優しくしてくれると助かる。流石に痛くなって来たので声を上げてしまうと慌てて離された。

「シズちゃんうざい」
「……………………」
「シズちゃん嫌い」
「……………………」

 何か、何か喋ろうという気にはならないのだろうか。段々居たたまれなくなってきた。迂闊に動いても危険そうで動く事も出来ない。
 しかし、気まずい静寂を殺したのは静雄の方だった。

「手前こんな事もうすんじゃねぇぞ」
「はあ?なぁんでシズちゃんにそんな事言われなきゃなんないのさ。シズちゃん俺の身内か何か?」
「何が悲しくて手前と同じ血流さなきゃなんねぇんだよ!気持ちわりぃ!」
「君も十分キモい!」

 ぎゃあぎゃあと喧嘩を始めて少し安心した。こうして鬼のような顔面で騒ぐ男はいつもの平和島静雄だ。一つ多大なる疑問が残ったままではあるが。
 明らかに流された気がしてならない。どうしてこの男がここにいるか、どうして援交相手を叩きのめしたのか、どうして忠告めいた発言が飛び出したのか。分からない事だらけだ。

「ああもうつーか、別に俺が知らないおっさんといちゃつこうがシズちゃんには関係ないだろ」
「大有りだ」
「はあ?」
「いいか、臨也。手前は野郎を舐めてんだよ。いつか酷い目に遭う。俺は手前が殺したいくらい嫌いだけどよ、手前が俺以外の男に泣かされんのは気分がわりぃ」
「……そりゃどうも」

 この男以上に常軌を脱した異性はいまだに出会った事がないので実感が沸かない。それに気分が悪くなってくれるのなら遭ってみて損はない、と臨也は空笑いを浮かべた。心配されるのは悪くはないのだが複雑だ。
 臨也は数々の疑問を頭に浮かべて一つに練り合わせてみた。そうして、それらを一気に解決してくれそうな効果的な言葉が閃く。

「シズちゃんは俺を女の子として見てくれてたの?」