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二十四時間戦争コンビ詰め合わせ

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 まあ、これは気紛れである。池袋をぶらついて奴と出会わなかった事に少し物足りなさを感じつつ、足を踏み入れたゲームショップ。今流行りの体を動かすゲームは疲れるだけで苦手で、たまにやるのはRPGだった。頭を捻らせてゲームを進行していき、登場キャラ同士の人間関係を観察するのは退屈ではない。

 今回、そこから外れて未知のジャンルに手を出したのは本当に気紛れに過ぎない。ただ、パッケージをレジに持って行った時の店員の顔はどうにも忘れられそうにはない。

「なんだそりゃあ、男しか出てきてねぇぞ」
「BLゲームだからだよ、シズちゃん。男と男の恋に女の子は要らないよ」

 パソコンの画面に映るキャラクターをシズちゃんが詰まらなさそうに眺めている。帰宅して一時間経った頃に、何処からか引っこ抜いて来た標識片手に突入して来たこの男は、隣で煙草片手にゲーム鑑賞の最中だった。殴りかかる事もなく、何しに来たかはよく分からないが、帰る時は標識も一緒に持ち帰って欲しいと願った。

 にしても、ゲームの世界はつくづく恐ろしい。いつの間にか主人公と攻略キャラクターがベッドの上で服を脱がし合っていた。告白して両思いになったのはいいが、この展開は一体何だ。シズちゃんが来る前に試しに進んでみたバッドエンドではもっと酷いプレイに驚愕した。

「……うわ」

 思わず漏らした声は決して歓喜や興奮からのものではない。何と言うか、モザイクを掛けているとはその部分がやけにリアルに描かれている。もういい。そろそろ飽きてきたから止めよう。そんな言い訳を頭の中で繰り返してパソコンの電源を消そうとしたら、シズちゃんが先にボタンを押していた。

 黒くなる画面。

「……ありがとう、シズちゃん」
「…………………」
「流石に今日は謝るよ。ごめん、精神的ブラクラだったね、これは」
「……手前も」

 情事シーンになった途端ずっと黙り込んでいたシズちゃんがようやく口を開いた。何故か頬が赤く見えた。まさかゲームを譲れと言うのだろうか。いいネタにはなるだろうが、ある意味広げたくないネタだ。

「あんな声出してたな」
「は?」
「突っ込まれている最中」
「なぁに言ってるんだよ、シズちゃん」

 どうやら俺を抱いている時を思い出したらしい。気恥ずかしそうに顔を逸らすシズちゃんに青筋を立てつつ、自分にはゲームをドン引きする権利はなく、される側だと自覚した。