二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

C78新刊サンプル(ほとんど無害!(下))

INDEX|4ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

「知ったこっちゃないかもしれないし、せめてそっちだけでもかもしれないし……その場になってみないとなんとも」
 皆守は、笑い声をあげた。笑っているようには聞こえなかった。
「一応は、見つかるつもりでやってるしね。下調べなしで飛び込んできたわけじゃないし」
「そうなのか? ひーちゃんはずいぶんと驚いていたようだが」
 出てきた名前に、葉佩は顔をしかめた。そして、首を横にふる。
「おれはあれがさっき出てきた《幻影》でも驚かないけどな」
 アイツのことはさっぱりわからない、と。そう言って嘆息する葉佩に対し、皆守は不思議そうに尋ねた。
「むこうにいたときのしりあいじゃあなかったのか?」
「……っ、さ、サマーキャンプで数日なんて顔見知りのことなんか、パパママの顔を知ってりゃよく知ってる方だろ!」
 そういうものかと首をかしげる皆守に対し、葉佩は必要以上に強く頷いた。さらには、両親の顔だって知らない程度の顔見知りなのだとまでつけくわえる。わかったと皆守が頷いたところで、葉佩は相好を崩した。
「ラベンダーの精油が持つ効能は、沈静だっけ。おかげで、ちょっと落ち着いて考えられた」
 効くもんだな、と。そう言って、満足げに目を細め、皆守のアロマパイプを見る。皆守は、びくりと身体をふるわせた。そして、口中のパイプに歯をたてる。がちり、と、小さく鳴った。
「プラシーボってやつだろ」
「効くから吸ってんじゃないの?」
 目をそらす皆守に対し、葉佩は手を伸ばした。それをはらいのけ、皆守は大あくびをしてみせる。そして、わざとらしいまでの伸びをしてみせてから、帰って寝ると宣言した。それもそうだ、と。葉佩は特に疑問を持つ様子もなく頷く。部屋の時計はすでに午前三時を過ぎていた。
 またあした、と。あたりまえの挨拶を交わし、皆守は葉佩の部屋を後にした。