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『テスト投稿』もしも~ 大坂夏の陣

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「もう耳にしているだろう。『俺には過ぎたる島左近』が江戸へ向かっている、と」
 家康が僅かに反応した。
 やはり、左近が江戸へ向かっているという情報が既に家康の耳に入っている。
 三成は持っていた扇子を構えた。
「悪いが、貴様をここで江戸へ帰す訳にはいかない」
「殿!」
 兵士達が家康の周りを囲み、武器を三成に向けるが、同時に兼続が三成の前に立った。
「三成には指一本触れさせない」
「裏切りおったか、直江」
 低く呟かれた家康の言葉にも、兼続は態度を全く変えることはなかった。
「私は私の義を貫いただけ」
 家康の周りを固める武将達と兼続の間合いが少し縮まっていく。
「主君を守る為、そして今は友と誓った義の世を創る為に、私はここにいるのだ」
 兼続の剣先は確実に家康へと向いていた。
 周りの兵士達は緊迫した空気に飲まれ、一歩も動けずにいた。
 両者の睨み合いが続く中、一人の兵士が三成の後ろで膝をついた。
「秀頼様が大阪城を出られ、こちらに向かっております」
「……わかった」 
 三成は構えていた扇子を下ろした。
 兼続もほぼ同時に剣を下ろした。
 しかし、その代わりに幸村が二人の前に立つ。
「三成殿、兼続殿。ここは我々にお任せ下さい」
 幸村の思いに、二人は頷いた。
「わかった。兼続、行くぞ」
「ああ」
 三成と兼続の部隊が下がれば、本陣の将と兵士数相手に幸村達だけでは不利である。
 しかし、その劣勢をも覆すほどに幸村の気迫は熱く鋭かった。
「真田幸村、いざ参る!」


 家康の首の検分を終え、秀頼はやや疲れた表情を滲ませていた。
 だが、近づく足音にふと顔を上げ、表情を改めた。 
 入ってきたのは、三成とそのやや後ろに位置する兼続だった。
「秀頼様」
 礼をした二人の前で、秀頼は微笑みを浮かべた。
「ああ、話は聞いた。上杉軍が我が方についてくれたこと、深く感謝する」
 兼続は深々と頭を下げた。
「主家を守る為とはいえ、秀頼公を裏切った罪は甘んじて受ける所存ではございますが、どうか上杉には寛大な処置をお願い致します」
「いや。その心、実に清廉にて忠義に篤い。私も見習わなければならない手本である。景勝もよい家臣を持っているな」
「勿体無いお言葉でございます」
「上杉に罰など与えぬ。勿論、そなたにもない。今後は三成と共に私を援けてくれ」