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『テスト投稿』もしも~ 大坂夏の陣

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 秀頼の言葉に、兼続は再び頭を下げた。
「寛大なるお言葉を頂き、この直江兼続、粉骨砕身の覚悟にて尽くす所存でございます」
「秀頼様、いかがなさいますか?」
 一通りの会話がなり、すぐに出てきた三成からの質問に秀頼は首を傾げた。
「江戸攻めに参りますか? それとも、このまま大阪に留まりますか?」
 この後、三成達は部隊をまとめ左近に続き江戸攻めに入る予定である。
 三成の問いに、秀頼は笑みを消した。
「……江戸へ行く」
 ざわりと、控えていた者達から戸惑いの声が上がる。
 が、秀頼の決心は固く、周りの声に動じる様子もなかった。
「徳川家康がそうしたように、私の存在を江戸にも見せる」
 三成が一礼をする。
「では、早速ではございますが、その準備を」
「わかった。三成、兼続、よろしく頼む」
「はっ」
 二人は退出し、軽く打ち合わせた後、それぞれの場所へと向かった。
 兼続と別れた三成は一室に入り、文机の前に座って筆を持ち、墨を含んだ先を紙に乗せる。
 綴られるのは戦いに勝ったこと、家康の首を討ち取ったこと、上杉軍が江戸へ向かったこと、大阪の本隊として秀頼直々に江戸へ向かうこと、だった。
 そして控えていた近習に手紙を渡した。
「江戸へ向かっている左近にこれを」
 この文を見たら、彼はどんな顔をするだろうか。
 兼続が味方になってくれたことに驚くか、幸村が徳川家康を討ち果たしたと知って喜ぶか、慶次がこの戦いに現れてくれたことにやれやれと苦笑するか、全てを予測していてやっぱりと勝ち誇ったように笑うか。
 その表情一つ見ることができない距離の遠さを深く感じる。
 この大阪での勝利を共に分かち合えないことを、三成は寂しく思った。
 が、今から豊臣軍本隊が江戸へと向かう。
 合流すれば、また共に同じ戦場に立てるのだ。
 あの独特の軽口に時折眉を顰めたくなるものの、聞かないでいると寂しいものだ。
 苦笑いを浮かべたまま三成は逸る気持ちを抑え、部屋を後にした。
 しかし、三成の心は既に江戸の左近へと向かっており、自然と足取りは速くなっていくのだった。
 一方の兼続は、秀頼との会見後に一室を与えられ、何をすることもなくそこに佇んでいた。
 遠くから聞こえた足音に意識を向けると、それは力強い男のものだった。
「慶次」
 男は入り口に立ったまま笑みを浮かべていた。