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『テスト投稿』もしも~ 大坂夏の陣

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「正面は何かと攻撃に晒されやすい。隊を動かすのは慎重にな」
「わかりました」
「『俺の軍略に狂いはない』……か」
「は?」
「いや……何でもない」
 今、無性に左近の言葉が欲しくなった。
 左近と立花?千代等主だった武将は江戸攻めに向かっている。
 こうして今、左近が隣にいないことが、左近と同じ戦場に立っていないことが、三成にとってどれほど不安にさせるか。
 そして、どれほど左近に助けられていたのか思い知る。
 だが、この戦いはその左近の為にも勝たなければならない。
 戦況はかなり厳しい。
 幸村が難しい顔をして黙り込んでしまった三成に声をかけようとした時、更に一人の兵が駆け込み三成の前で膝を折った。
「報告せよ」 
「はっ。東は稲姫率いる徳川軍、西は伊達政宗率いる伊達軍の模様です」
「犬が来るか」
 持っている扇子が何度も開いたり閉じたりしている。
「むしろ好都合だったな」
「どうしてですか?」
 幸村の疑問に、三成は不敵な笑みを浮かべた。
「俺のことが兼続に伝わりやすい」
 いくら同じ徳川方にいるとはいえ、伊達政宗と兼続の仲が悪いことは兼継本人から何度も聞いていた。
 伊達軍の情報には敏感になるだろう。
 しかも西門側は兼続がいる真田丸にも近く、彼なら戦況把握の為に伊達軍内に偵察隊を送り込んでいるはずである。
「兼続は敵側だ。戦わなければならん。だが……」
「私は兼続殿が変わったとは思えません」
「ああ。俺もそう思う」
 友を信じ、友と共に戦う。
 ここにも一つの『義』があるのだと、二人は感じていた。


 いよいよ両軍がぶつかり、戦いが始まった。
 次々と怪我人が運ばれ、伝令が縦横無尽に走り回っている。
「毛利殿」
「ああ、三成殿」
 西側を守る毛利勝永が振り向き、三成に軽く会釈をする。
「戦況は?」
 毛利の眉がきつく寄る。
「難しいところですな。伊達軍の勢いは凄まじく戦線を維持するのが精一杯」
「そうか」
 三成は扇子を持ち、門の方を見つめる。
「俺が討って出る」
 それには毛利は驚き三成の前に立ち塞がった。
「お待ちあれ! 幾ら何でも無茶ですぞ」
「それくらいしなければ、今の状況は覆せん」
 維持では駄目なのだ。
 勢いが敵にある分、すぐにそれは破綻するだろう。
 そうなる前に覆さなければならない。
「毛利殿、俺の後ろで伊達軍を抑えてほしい」