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エヴァログまとめ(353オンリー)

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 いつの間にかカヲルの気分は浮上していたが、全てがささくれ立っている。埒が明かない堂々巡りだった。
 それでも投げ出さなかったのはつまらない意地だった。苛立ちに任せて疑問を投げ出すのは簡単だ。それをしないのはせっかく相手をこちらに向けたのに、そう簡単に手放す理由がないからだ。
 苦労してここまで至ったのだから、疑問の一つくらい解決しなければ気が済まない。

「なら僕が司令を『お義父さん』って呼んだら、正解になるの?」
「なっ……そんな訳ないだろっ!」

 青白かったシンジの顔が瞬く間に赤く染まった。声を荒げ激昂している。
 興奮するシンジとは反対にカヲルの心は酷く冷め切っていた。
 父親を拒絶するような態度を取りながら手を伸ばすことを諦め切れず、そもそもその手を伸ばす行為自体も触れることが目的ではない。
 伸ばすか伸ばさないか、その時点で彼は迷っているのだ。伸ばす右手を左手で包み込み掴んでしまっている。
 訳が分からないのは一体どちらだ。いらないような素振りを見せながら、他人が取り入ろうとすれば感情を剥き出しにする。
 その二面性が人の子かと結論付ける訳にはいかなかった。そんな決まり文句では納得出来そうにもない。

「いくら考えたって分かる訳ないだろ。僕に父親はいないんだから」

 ちちおや、という四音すら舌の上では違和感ばかりで上手く転がらない。
 せっかく解放されたというのに、シンジの唇は再び噛み締められていた。歯は唇の肉に食い込んでいる。やはり彼の唇は柔らかいのだろう。

「そんなの、僕にだって分からないよ」

 あの言葉の続きは噛み砕かれることがなく静かに吐き出された。


090717