彼方セブンチェンジログまとめ(腐向け)
「ん、写真つきか……」
田中は何の躊躇いもなく添付されていたファイルを開いた。
最新機種特有の縦長い画面に現れたモノ――ほぼ全裸/腰に辛うじて布=急所をギリギリフォロー/両手を縄で縛って吊るし上げ/妙にてらてら光る身体――何かを考え、叫ぶ前に返信ボタンを強打。
【件名】RE:春巻うまい
【本文】
お前はセリヌンティウスか。
勢いのまま、内容をほぼ確認せずに送信――1分もせずに返信。
【件名】RE:RE:春巻うまい
【本文】
違いますよ!
三島由紀夫のセバスチァンの殉教のパロディのパロディです!
何だその無駄に役に立たない文学事情は。
みしり、と携帯が手中で軋む。顔は引き攣りすぎた結果、もはや無表情の域。
【件名】RE:RE:RE:春巻うまい
【本文】
とにかく書き直せ!
またはもっとましな画像に差し替えろ!
一回二回言い聞かせたくらいで彼方の変態は治らない。結局、屈折している爪先が写し出されたまともな画像が送られてきたのは、最初のメールから二時間後のことだった。
「俺は二時間あの馬鹿とメールしていたのか……」
どうりで疲れる訳だ、と田中は携帯を片手に持ったまま肩を回した。
ふとメールの内容を確認して見れば、送受信ボックスの宛先は「蒼希彼方」。二時間リアルタイムでメールのやり取りをしていたのだから当然といえば当然なのだが、田中は誰もいない自宅で顔を真っ赤にした。
100121(091230)
作品名:彼方セブンチェンジログまとめ(腐向け) 作家名:てい