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【LD1】金曜の晩には薔薇を【ベルジャン】

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 そんでもって気づけばそれから4日間連続で、デイバンのジェラート屋のメニュー制覇を敢行するという暴挙に出ていた。

「うー、さすがにこれ以上やるとスボンに腹が乗りそう」
「立て続けにしすぎ、ましたか」
「やっぱり食いたいときに食いたいだけ食うのが1番のご馳走だよなー。いやでも貴重な経験だった。俺今、絶対ないと思ってた子供の頃の夢、1個達成できた」
「はい」

 俺が喜んでいると分かれば、ジュリオはたちまち尻尾振って喜びだす。
 何とも忠実だな。俺、そんなにジュリオに好かれることしたかな。コイツの思考回路ってほんとによくわからん。
 そんな和やかなジェラート好きで2つ名が犬の会、略して犬仲間のムードが壊されたのはまたもや部下のノック音だった。
 実のところ、毎日だ。

 またジュリオが立ち上がって出て行こうとしたところを、そろそろ止めるか、と腕を引いて止めた。と、このタイミングに大股の足音が近づいてきて、ドアを蹴破った。

「う、うわ、何事!?」
「ジャン!!」

 俺の声に被って聞こえてきたのは、やっぱりというか、当然というか、ベルナルドだった。
 昼間にかかって来た電話もほとんど部下に取らせて急用以外は通させなかったし、俺が受け取ってもベルナルドに何て言えばいいのか、何て顔すればいいのかわかんなくて、曖昧な返答だけしてすぐに電話を切っていた。
 そんな対応じゃ、あの冷静沈着なコマンダンテ様もこうなるわな。

「ジャン!どうしたって言うんだお前は、連絡だってロクに」
「近付くな」

 自分のことで精一杯になってた俺は、腕を掴んでいたジュリオが反対の手にナイフを構えてるのを確認して顔がひきつった。

「ちょ、ちょっと待てジュリオ。お前それはしまっとけ」
「でも、ジャンさん」
「でもも何もねーよ。そりゃドア蹴破った相手が悪いんだが、それはないって」

 俺が慌てて掴んだ腕を引っ張りながら手を振る姿に、ようやくナイフを下ろす。
 同時に向こうでベルナルドが肩と、あと何か大事なモンを落としたような姿が見えた。

「…そういう、ことか…」

 1人呟いたベルナルドは、邪魔した、とだけ言い残して出て行く。
 ジュリオは当然とばかりにその姿を睨んで。
 ちょ、ちょっと待って。たぶんこのよくわからん現状の張本人って俺だと思うんだけど、その俺がよくわかんねーって、どういうことがそういうことなんだよ!