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葎@ついったー
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novelistID. 838
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die vier Jahreszeite 003

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ため息混じりに云うと,アントーニョは足を止めて寒々しい曇り空が広がる窓のほうへ身体を向けた。

「雪,降らんかなあ」
「予報ではクリスマス辺りが初雪って話だったぞ」
「そうなん?クリスマスかー。ホワイト・クリスマスやんなあ」

やはりどこか元気がない様子で云いながら,アントーニョはガラスにはああ,と息を吐きかけた。
そして曇った部分に握り締めた拳を押し付け,その上にちょいちょいちょい,と人差し指を押し当てる。

「なあ,見て?赤んぼの足跡に見えへん」

かわいいやろ?
確かに指差す先のそれは見ようによってはそう見えなくもない。
頷いてやりながら手を伸ばし,やわらかなくせっ毛をくしゃくしゃと撫でてやると俯いたアントーニョが低く笑った。

「やさしーなぁフランシスは」
「だろ?」

ぽんぽん,と撫でて手を離す。
アントーニョは窓ガラスに残った小さな足跡を見ると,それを掌でぐい,とぬぐった。
そしてくるりと振り返ると「せや。さっき聞きそびれたけどクリスマスってどーなってん?」と明るいグリンの瞳を輝かせた。

「どうなってるも何も,いつもどおりバイト」
「あー,やっぱりそうかー」
「稼ぎ時だからな」
「デートとかせーへんの?」
「してやりたいのは山々だけど,そんなことしたら一人だけ贔屓することになるだろ?」
「……一体何人とつきあってんねん」
「秘密」
「悪いビョーキになんで?」
「その辺は抜かりなく」
「うーわ,フランシスが云うとナマナマしいわー。けだものやんなあ」
「失礼なこと云うな」

あんまりな物言いに苦笑すると,アントーニョは喉を鳴らして笑いながら,「一口,乗らん?」と悪戯な目を俺に向けてきた。