あなたへ
「オレはそんなに相棒に甘いだろうか」
・・・・・・。
「・・・は?」
今、なんて?
ぱっきり、今度こそ妙な構えで動きを止めた城之内の様子に気付かないまま、もう一人の遊戯は首を傾げながら重ねて問うてくる。
「城之内くんはどう思う?」
・・・うん。そこは確かに甘いと思うが。つーか、過保護?
とゆーか。
なかったのか、自覚。
思わずそっちに素で感心してしまって、そこでようやく身体から余分な力が抜けた。
妙なムードで真剣にそんな事言ってくるから何が起こるのかと思ったぜ…。
一つ、安堵に似た息を付く。しかし城之内に密かな恐慌を呼んだ当の本人はそれどころではないようだった。
元々、もう一人の遊戯の方はあまり感情を表に出すタイプではない。が、流石にこれだけ付き合ってくると、微妙な表情の違いから、感情を読み取れるようになってくる。
まだ何やら難しい顔をして、考え込んでいるが…どうも困っている、らしい。
そうと判れば元々友情に熱い男、城之内克也。
もう一人の親友の為に一肌脱ぐべく、問い掛けた。
さて、それはいつの話?
…きっかけはほんの些細な一言だった。
ほんの些細な、常から見れば些細な事であっても。
当事者からすると、結構重要なことだったりするのだけれど。