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2003年度龍騎短文まとめ

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必死にしがみつくものなど俺にはない。
見えていたものが全て遠ざかってもう真上の光しか見えない、その眩しさに思わず顔を背けたときに底の底が見えた、立っている人物に目をこらす。

深い深い穴の最深に立ち笑いながら俺に両手を伸ばす芝浦がいた。

■2003/09/09 (火) 芝手
俺の大切な人は暑いからといってごろごろしている。
そんなに暑いならクーラーつけなよ俺もう限界なんだけど、と言うと、冷房は身体に悪いからと一般論が返ってくる。
ああやだ暑いからもう何もやる気んなんない、とフテれば、じゃあ一緒に寝ようと何の解決にもならないことを言って笑った。
並んで寝たけれどもやっぱり暑いじっとしているだけで暑い、汗が流れていく。
あんまり暑いから彼に抱きついて抱き締めて絶対逃がさないでやろうかと思ったけれど、抵抗されるとヤだからそのまま寝ていた。
 
ねーあんたほんとは暑いの嫌いじゃないでしょ。
分かるか?
分かるよ。
 
そんでもって、俺があんたに逆らえないの知ってて、わざと一緒に寝ようなんてゆったんでしょ、あー性格悪い。そう言って寝返りをうつと隣でくすくすと笑う声が聞こえた。

■2003/08/24 (日) 芝・手
大きく息を吸って向き直りきょとんとした彼に今の今まで練習していた言葉をぶつけ、
ようとするのだけど今日も失敗して肩を落とす。
怪訝そうな顔で覗き込んでくるけれども、自己嫌悪にはまっているのでまるで追い払うようにしてしまう、と、こんなときだけ素直に傷ついたような顔でしつこくしてごめんと謝ってくるので余計すまない気持ちになる、
嫌っているんじゃなくその反対で伝えたい言葉もたった二文字なのにそれだけのことがうまくいかない。
心の中でならどんなふうにでも何回でも言えるのに、口に出さなければ伝わらないと分かっているのに。
明日こそと思い続けて何日目になるんだろう

■2003/08/21 (木)
伝えられないなら救われないなら許されないなら二人でいる意味なんてないんだ。

■2003/08/21 (木) 芝手
「みゆきちゃん、俺のことどう思ってるの?」
「嫌いじゃ・・・ない」
「えー? そんなのいらない」
「?」
「好きしかいらない」

■2003/08/21 (木) 芝手
多分それだけのために僕がいて君がいる。

■2003/08/04 (月) 56北
永遠に愛してちょうだいよ。
ほんのもう少し、俺が死ぬまでの永遠でいいから。

■2003/08/04 (月) 北芝
「どーもー」
「また来たの?」
「ん。だーって北岡さんチの料理うまいんだもん」
「そりゃそーよ、俺のゴロちゃんだもん。それなりのお代はいただくよ」
「親父にツケといて」
ああ言えばこう言う。まったく口の減らない子供だ。
「飯タカりにくる奴は一人で充分だよ」
ただでさえそいつが来ると物が壊れて困るのに、とぼやくと少年は面白そうに笑った。
「じゃーね、ほんとは北岡さんに会いたかったって言ったら?」
嘘を嘘とも思わない、その言い方は好きだ。
「そしたら歓迎してあげるよ」
言ったら、
「北岡さんて、嘘と冗談の区別ついてるの?」
同じように笑いながら言われた。
思わずきょとんと瞬きをすると、少年は笑ったまま続ける。
「そういうとこ、好きだけどね」

■2003/08/03 (日) 芝浦
全てを嫌いだと思う瞬間に嫌いきれない人がいるなら幸せなんじゃない、かな?

■2003/08/03 (日) キスより簡単(芝手)
たとえば。
あなたを傷つけること愛すること泣かせること守ることそれら全て。
大人しくて従順なペット、のように扱っても怒らない。
ひどい言葉を選び投げつけること傷つけてそれよりもっと痛いことをすること嫌だと泣いても許さないこと寝ている君を抱き締めて泣きながら謝罪することそれすらも、キスよりは簡単。

■2003/07/19 (土) 芝浦
嫌いって言えたらいいねあんたのこと嫌いだって。
そんでそう思えたらいいね。
言うことすらできないくらいあんたこのとが好きだ(もう忘れてしまいたいのにあんたがいない生き方が想像つかないくらいになってる)ねえお願いだからこっち向いて 

哀願の方が拒絶より楽だ。

■2003/07/17 (木) 須藤
能動の愛も受動の愛も不必要だと思っていた。なぜならそんなものがなくても生きてゆけるからだ。
「愛し愛される」という言葉の胡散臭さに寒気がする。
けれど、
『赤ちゃんはいくらミルクを与えてもいい布団に寝かせても』
『抱っこしてもらえなければ衰弱して』
『死んでしまいます』
『環境ばかりをいくら整えても』
『愛されることが必要なのです』
つけっぱなしにしていたテレビの垂れ流した音が頭から離れない。
嘘に決まっている、と一蹴するには、動物実験から得られたデータは生々しすぎた。
愛が得られなければ死んでしまうということを証明するために何匹もの動物が(多分人間に近いサルか何かだろう)死んだ、いや殺されたという方が正しい。その残酷はますますもって私の心を冷やし、そしてその死が裏付けたデータは私をひどく畏怖させる。
だって、誰にも愛されなければ死んでしまうというのなら、なぜ私は今生きている?
愛などなくても生きていけると思っていた。
愛などなくても生きていけると思ってきた。
生きてきた、はずだった。それが違うというのなら。
幼い私を愛したのは一体誰だったのか。
その愛が消えてなくなったことに不満も不安もない。私を怯えさせ、また傷つけるのは、私が以前誰かに愛されていたという事実だ。
誰にも愛されなければ死んでしまう。そして私は生きている。
愛、
されていた。
その感覚に鳥肌が立ち私は自分を抱きしめた。
怖い。
その理由はどうしても分からない。けれど、恐ろしく怖かった。

■2003/07/17 (木) 56北
絶対服従。
彼は俺に絶対の服従を誓っている。
俺が何をしても何を言っても彼が俺を裏切ることはない。
たとえば俺の何気ない(あるいはそれを装った悪意ある)一言で傷ついたとしても、彼はそれを表には出さず、以前と同じ服従を俺に向けるだろう。
何をしても咎めない。
何をしても、何を言っても。
それは嬉しいのだけれどもとても寂しくて、だって何も言われないというのは無関心にも似ていて(そうでないことは俺が誰よりもよく知っているけれど)何も言われないからの自由、自分の意志を殺す服従というのはとても一人ぼっちに似ている。
俺が欲しいのは手足ではなく『彼』で、彼を求めて俺は幾度も彼を傷つける、けれど彼は何も言わない。
俺はいつでもどこか悲しく、怖く、寂しい。

だって彼の俺に優しいその理由が。
たとえば憐れみでないと誰が言いきれる。
 
■2003/07/11 (金) 写真(芝手)
写真を撮っておきたい。
いつか別れる日が来ても(来ても、というか日時のみ不確かな絶対未来なのだけど)、何もなかった錯覚などしないように。
何もなかったと思い込んだりしないように。
熱と幸福と痛みと恋とそして拙い愛とがきちんとここにあったことを忘れたくない。
たとえ君が、いなくなっても。
たとえ僕が、いなく、なっても。