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2003年度龍騎短文まとめ

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■2003/03/29 (土) 芝浦
全て嘘でしょう? それくらいは分かってる

■2003/03/27 (木) 芝手
「俺に嫌いって言われたら傷つく?」
「・・・・・淳?」
君の傷の深さで愛を測りたがる俺がいる。
側にいるだけで満たされる愛もあるはずなのに。

■2003/03/27 (木) 芝浦
ねえ、何か欲しがって。
無償の愛なんかじゃなくて。
俺と取り引きしてよ。
あんたは優しすぎて、かえって突き放されてるみたいだ。

■2003/03/27 (木) 芝須
「須藤さんって泣かないの?」
「泣いたってどうにもなりませんから」
「うん、そーゆうとこ好きだよ、俺」
「そういうところを好かれても嬉しくありません」

■2003/03/24 (月) 芝浦
「別にいいんだけどさ」
爪を噛む。
「なんでもいいよ、もう」
爪を噛む。
叱ってほしくてやっていたことだけど、誰にも咎められないまま今日まで来てしまった。
爪を噛む。
爪を噛む。
爪を噛む。
これも甘えなのかな?
誰かに期待すること自体が間違いかな?
だったらどうしよう、もう全部捨ててしまうべきなのかも
爪を噛む。
もういい、もう何もいらない。
「別にいいんじゃない、それでも」
「・・・・それは」
「なに?」
「止めた方がいい、癖になる」
「は、何言ってんの」
俺は笑う。
ちょっとだけ遅かったね。
「諦めるのは、癖になる」
「・・・・・・・」
俺は彼をみる。
「・・・・うん」
小さく頷いて小さく笑って、両手をポケットに入れる。

■2003/03/24 (月) 芝手
壊しては直すことを繰り返している。
壊すたびに直りにくく、直すたびに壊れやすくなっているのに。
どうしようもない、どうにもできない。ただもう
繰り返すことしか できない。

■2003/03/23 (日) 芝浦
どんな小さな音すらも耳障りだ。
原因は分かってる。
側に誰もいないから。
それが嫌だと思った記憶は古すぎてもうない。
愛をねだるより物をねだる方が罪がないのだと悟ったのはいつごろだったろう。

■2003/03/23 (日) 芝手
「今日なんかの本で読んだんだけどさ、キリスト教だかの七つの大罪って「高慢、嫉妬、怒り、怠惰、強欲、飽食、快楽」なんだって」
「へえ」
「俺全部あるじゃんとか思ってさ、笑えたよ」
「そうだな」
「そんなあっさり認められてもやだな。長い割につっまんない本だったよ。まあ、随分前のだったみたいだからしょうがないかもね」
「ああ」
「ソドミーも地獄に落とされるんだって。ああ、ソドミーって同性愛者ね」
「・・・・・・・・」
「ごめんね? 付き合わせちゃって。一緒に地獄行くことになるみたいよ」
「芝浦」
「でも誠実で美しい恋に生きた人間は天国に行けるんだって。面白いよねー。当人同士がどんなに誠実でも真剣であっても同性愛は地獄行きだよ?本人がいいなら俺は人間と動物だっていいと思うけど」
「お前は・・・・天国や地獄を信じてるのか」
「んー、信じてるってのとは違うかもだけど、あるんじゃないかなーとは。じゃなきゃ不公平じゃない。まあこういう話長くなるから止めるけどさ。せめて地獄にいかないと俺はいい目見すぎだと思うね」
「そうなのか?」
「だよ。欲しいものは何でも手に入って、みゆきちゃんはここにいて。いい目みてるじゃん。思いっきり」
「・・・・・・・」
「でもねえ、俺は大罪犯してるみたいだけどね、直す気なんかないよ。生きてるときにひとっつもいい目みないで、そんで死んでからもひとっつも嫌な目にあわないなんて、生きてなかったも同然じゃない。思っきしいい思いして死ぬほど辛い罰を受けるのでも、俺はかまわないよ。全部思い出になるじゃない」
「・・・・・」
「そうでしょ?それしか結局さ、持ってけないんだから。ほんとに俺のものなんて、それぐらいしかないんだから」

■2003/03/23 (日) 芝浦
いるしいらない。
好きだし嫌い。
見たいし見ない。
触るなって言っても抱き締めてよ。
無理やりなくらい愛されたい。

■2003/03/22 (土)
多分誰だってわかってはいる。
ただ、できない。

■2003/03/19 (水) 芝手
「今すぐ世界の終わりが来たらいいね」
「?」
「そしたらみゆきちゃん、俺のこと抱いたまま死んでくれるでしょ?」

■2003/03/18 (火) 芝浦
朝と昼と夜とに俺を好きでいてよ。

■2003/03/03 (月) 芝手
「もういいよ、みゆきちゃんなんて大っ嫌い」
「・…だったらまずこの手を離してくれないか?」

■2003/01/31 (金) 北岡
怖いことなんてひとつしかない。
君を失うこと、というのもあるけど、でもそれは、本当には怖くない。
契約を解かれた君が俺から離れていくのは、辛いけど怖くはない。むしろ、いいことだと、思うよ。
怖いのはね、俺が怖いのは、君が飛んでいかないことだよ。
どこに行ってもいいって言ってるのに自分の意志でここにいて、
俺に手を伸ばして俺を抱きしめちゃうことだよ。
分かる? 分かるかなあ。
それだけが怖いんだよ。

俺はそれだけが怖いんだ。
 
■2003/01/25 (土) いつかもし僕が・2 (北岡+吾郎)(not幸せ編)
「ねえゴロちゃん」
「何ですか?」
「ゴロちゃんは俺の言うこと何でも聞くんだよね」
俺は彼を見て笑った。
「はい」
「じゃあさ、俺が『もう側にいないで。俺から離れて』って言ったら言うこと聞く?」
意地の悪いことを聞いた。
何と答えて欲しいのかは、自分でも分からないけれど。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
言うことをきく? きかない?
しばしの沈黙ののち、
「そんな台詞聞こえません」
彼は思いがけない答えを出した。
「え?・・・・」
「俺、そしたら耳ふさぎます」
真顔で言うから、問いを重ねた。
「・・・・紙に書いて突きつけたら?」
「目も閉じます」
俺は少しだけムキになる。
「ぐいぐいってドアから押し出したら?」
「窓から入ってきます」
「ゴロちゃんから逃げたら?」
「捕まえます」
「隠れたら?」
「見つけます」
実のない言葉遊びに。
「・・・・・消えたら?」
真剣を持ち込んだ。
分かるでしょう?何が言いたいか。
何て答える?誠実な君は。
「・・・・・待ってます」
・・・・一番きつい答えを、出された。
多分わざとだ。
それと分かっていながら彼を傷つけた、これは罰だ。
「待ってます。俺、先生が帰るの、ずっと。この家で、ちゃんと掃除もして、毎日先生の食事作って、先生が帰るのずっと、・・・・ずっと待ってますから」
「・・・・・・・」
息が苦しい。
胸が痛い。
きっと彼は実行する。
「せん・・・」
さえぎった。
「じゃあ、いなくなれないね、俺」
待ってる人がいる限り、さ。そう言ってウインク。
ごめん、もう止めよう?
・・・・・ねえ、お願いだから、ほんとに待ってなんてないでね?
俺の持ち物全部捨てて、この家も捨てて、できたら俺のことなんて忘れてしまってね? 俺を思い出して泣くようなことはしないでね?

なのに永遠に彼に覚えていて欲しいと、胸の奥底で思ってる。