二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

飴の蜂屋・神頼み編【鉢雷鉢】

INDEX|19ページ/42ページ|

次のページ前のページ
 

 二人は、圧迫感のある壁に囲まれていた。いつの間にか武家屋敷の方までやってきていたのだ。
「なんでここに?」
 ここらの武家屋敷へは、何度か配達で来たことがある。いくら江戸のかなりを占めているとはいえ、そこで働く者でもなければそうそう通り道にするものではない。必要な物は、町屋ですべて手に入れられる。
 三郎は無言だ。しばらく、会話もなく二人で歩いた。
「別に危ないことしてるわけじゃないさ」
 そうならいい。さっきまで話し込んだおかげで、さすがの八左ヱ門も三郎を信用する気持ちが勝っていた。
 入り組み、人通りもなくなった道の左右を確認しながら、立ち並ぶ屋敷の中でも特に薄汚れた厚い壁を撫でる三郎。何をやっているのか。……客観的に見ればさぞあやしかろう。
「もったいぶらず教えろよ」
 わだかまりは大分解けた。そう突拍子もないことが出てくるとも思えないので、八左ヱ門は先を促す。
「怒んないか?」
 腰をかがめているからって、雷蔵の顔で子供みたいな上目づかいをするんじゃない。文句も込めて睨んだ。
「あのな、これからこの屋敷に忍び込むから」
 八左ヱ門は、つむじのあたりから毛が逆立った気がした。
 俺の信用を返せ。