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ルノ・ラダ ~白黒~

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ルノが答えた。
横でルックが、カラスの行水、とつぶやいている。

3人で一緒に上がった。
あー気持ち良かった、とラダが言っている。

「僕はもう疲れた。このまま帰らせてもらうよ。」

ルックが手を上げながら言った。
ラダが分かった、と言うやいなやルックは消えてしまった。

「じゃあ私達も帰りましょうか、疲れましたね。」
「ああ、うん。・・・もし良かったなんだけど、ちょっと、いい?」
「え?ああ勿論かまいませんよ?どうしましょうか?酒場にでも?」

ラダが首を傾げながら言った。
ルノはうーん、と考えてから、じゃあ僕か君の部屋で、と言った。

「・・・では、ここからだとあなたの部屋の方が近いですし、そちらに行きましょうか。」

ラダは一瞬躊躇したように見えた。
・・・やっぱり避けられてるのかな?ルノは一緒に向かいながら思った。

「じゃあ、ラダはそこに座って?今お茶を出すよ。」
「・・・。いえ、おかまいなく。あの、どうされたんです?」
「ごめん、もしかして急いでる?」
「え?あ、いえ・・・。じゃあ、お茶、いただきます。」

うーん、やっぱり避けられてる、よね・・・?
どうしてだろう?
好きと言ってくれていたけど、嫌われたのかな?

ルノは考えながらお茶を淹れていた為、熱湯が少し手にかかった。

「っつ」
「ルノさんっ」

ラダはすっと立ち上がってルノの側に一瞬でやってきた。
すぐに水差しの水をかける。

「・・・ありがとう。」
「いえ。大した事なければいいですけど・・・。」

そういいながらラダがお茶の用意をしだした。

「大丈夫だよ・・・。ごめんね、結局ラダにさせちゃって・・・。」
「そんなの気にしないで下さい。・・・さ、入りましたから・・・。」

ラダはテーブルにお茶を運んだ。
2人とも腰掛ける。
ラダが促すように首を傾げた。

「あの、ね?もしかして、ラダ、僕を避けてる・・?」

ルノはいきなり核心をついた。

「えっ?・・・そ、そんな事・・・」
「・・・あるよね?どうしてかな。僕、何かした?」
「・・・普通に話ししてたつもりなんですけどね。どうして分かったんです?」
「え、実はルックに聞かれて。そういえばそうだなあって僕も思って。」
「・・・ああ。・・・・・。」

ラダは少し俯いた後、顔を上げて言った。

「・・・椅子、1つだったのに、2つになってますね・・・。」
「え?ああ、うん。」

いきなりまったく別の事を言われてルノは首を傾げつつ頷いた。

「えーと、要は距離をあけておこうかなって思いまして。」
「どうして?やっぱり僕何かした?嫌われたのかな?」
「あ、いえ、私はルノさんの事、変わらず大好きです。だからお話する機会があるときは極力控えめにアプローチはし続けます。・・・でも・・・。」

ラダはこくっとお茶を一口飲んだ後続けた。

「前にこのお部屋にお伺いした時に思ったんです。ルノさんが好きでもあまり積極的にしたら嫌われてしまうのかなって。」

前・・・?
ルノは思い出そうとした。
・・・ああ、例のトーナメントの話をしに来た時か。

「・・・キスとか、嫌がられてるみたいでしたし・・・。部屋だって何もいらないって仰られてましたけど、椅子だけ1つ増えてるし・・・。」
「さっきも言ってたよね?椅子がどうしたの・・・?」
「・・・前は椅子がなくて、私無理やりルノさんの膝の上に座ったでしょう。あれもやっぱり嫌だったのかなあって。」
「ああ・・・。まあ確かにびっくりしたけど・・・。別に嫌だった訳じゃないよ。逆に座り辛くなかったかなって思って、ラダ用に用意したんだけど。」

用意しないほうが良かったのかな、とルノは気にしたように言った。

「え。そ、そうだったんですか?いえっ。私の為なら、とても嬉しいですっ。・・・私の椅子・・・。」

ラダはほんのり頬を赤くしながら嬉しそうに椅子を撫でてつぶやいた。

ルノはそれを見ながら、こういう所は可愛らしいなと微笑ましく思った。

「とっ、兎に角そういう事です。だからルノさんは気にしないで下さい。ルノさんの事、嫌いになるわけがないです。むしろどんどん好きに・・・」

そう言うとラダはお茶を飲み干した。

「じゃあ、もう帰りますね?」
「・・・待って?・・・僕、凄く勝手だとは思うんだけど、そんな理由で変に距離おかれても楽しくないよ。」
「え?」
「今だって、すぐ帰ろうとしたでしょう?僕としてはもうちょっとゆっくりしていってくれたらいいのにって思うんだ。」
「え、あ、そう言われるのは凄く嬉しいんですけど、私としては部屋に2人きりでいるのはあまり良くないと思うんです。」

ラダは嬉しいような困ったような、泣き笑いのような表情をして言った。

ルノはラダにそんな表情して欲しくないな、と思った。
ああ、でもさせているのは自分なんだ、と思うととても申し訳ない気持ちになる。
だいたい自分はラダの事、どう思っているのだろう。

シーナやビクトール達、オウランにまで、きちんと考えろ、はっきりしてやれと言われてしまった。
確かに第三者として考えてみると、好きだと告白されてはっきりした返事もしないのに一緒にいるというのは酷い話のような気がする。

ラダの事。
好きだとは思うが、恋愛の対象としてはどうなのだろう。

嫌悪している訳はない。
確かにこの間はキスは恋人同士がするものだろう、とか言った。
ラダにされたときもまあ良いかと思ったがもし好きな相手が誰かとするのは嫌かも、などとも。
だが言い換えればラダだから、まあ良いかと思ったのでは・・・?

・・・どうなのだろう。なまじ自分に恋愛の経験がないだけに分からない。

「・・・あの・・・?ルノさん?どうされたんです・・・?」
「え?ああ、ごめん。・・・あのさ、僕はね、今まで恋愛ってした事がないんだ。」
「?」
「だから好きっていう気持ちが分別できないというか・・・。うーん・・・自分の中で分からない事は説明しにくいね?とりあえずラダ?」
「はい?」
「僕はこうやってラダとお話するの好きだよ。一緒にいるのも。だから勝手だとは思うけどあまり距離をおいて欲しくない。君のいう積極的というのがどういう事かは分からないけど、別にくっついてくるのが嫌な訳じゃないよ?」
「・・・ルノさん。それは蛇の生殺しです・・・。」
「え?な、何で!?」
「だって私は、勿論あなたの側にいるだけで嬉しいですが、2人でいれば触れ合いたいし、キスし合いたい。くっつくだけじゃなくって抱かれたいと思います。だからそんな風に言われると切ないです。ルノさんは私を友達としては好いてくれている。それは勿論嬉しい事ですが私はルノさんを恋愛として好いてるんです。ルノさんはまるで子供かペットを可愛いと思うようにくっつかれてもいいと言う。でも私は愛しているからくっつきたいんです。このズレは切ないです。」

ラダがまた泣き笑いのような表情で言った。
だからとりあえず今はもう帰ります、と。
作品名:ルノ・ラダ ~白黒~ 作家名:かなみ