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まだ早い夜の断片

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 クラスメイトたちがどうなったか気にならないわけではない。けれど彼らが自分のようになっているなどとは決して思わないし、だったら成功しているのだと信じていたほうがいい。だからあえて北見は、あいつらどうしてる、と、竹下に問わなかった。
「……お前が来てくれないんで、困ったんだぞ、俺」
「えっ? どうして?」
 不意に竹下が眉をひそめてそんなことを云いだしたので、北見は驚いて口に持っていきかけたビールをこぼしそうになる。
「北見はどうしたっていろんなやつに聞かれるんだよ、なぜか俺がさ。それにおまえがいないと女子から逃げられない」
「はぁ? おまえまだあのクラスの女子とも喋れないの?」
「だって今までほとんど喋ったことないだろうが! まあ、大学で絡んでくる女よりはずいぶんやりやすい気もするけど、でもやっぱり苦手なんだ……」
 竹下はいつもそうだった。文化祭の準備で仲良くなって以来、女子に囲まれて困ると、いつも彼は北見のそばに来て、北見を隠れ蓑のように使った。あるとき女子たちに「竹下君と北見君って付き合ってるの?」と冗談交じりに聞かれ、「そうだよ」とこちらもふざけて答えたら、竹下に頭を叩かれたことをふと思い出す。そういう風に彼が、困ったときに北見のところに逃げてくることは、まんざらでもなかった。
「でも久々に会ったらみんな可愛くなってて、ついつい好きになっちゃう……みたいなことがあってもいいと思うんだけどなあ」
「来なかったくせによく云うよ。それに俺がそういうの無理だってのは、知ってるだろ」
 徐々にぼそぼそと声をひそめて、目元を赤らめながら彼はそんなことを云う。顔が赤いのをごまかすかのようにしかつめらしい表情を作るところなんかは昔のままだった。それを聞いて、北見はほっとする。その安堵を誤魔化しながら、いいかげん進歩がないなあ、などと竹下を揶揄した。
作品名:まだ早い夜の断片 作家名:nabe