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織葉(おりは)
織葉(おりは)
novelistID. 1532
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口の悪いカレ

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……毎度のことながら、恐ろしい切り替えだ。
早さも落差も恐ろしい。
それでも俺が平気でいられるのは多分、古泉が表面に現れるものしか変えていないと分かるからなんだろうな。
古泉と二人で向かったスーパーは時々妙な食材を置いてあることもあって古泉が気に入っている店だった。
そこで、レタスだのきゅうりだのを異常なほど慎重に吟味する古泉を野菜売り場に放置して、俺は適当に店内をぶらつく。
別に古泉の側にいてもいいのだが、同じ野菜ばかり見てても飽きるからな。
今日は何か面白いものがないか、と見ていると、中華粥のレトルトパックが目に入った。
あまり見ないメーカーだな。
美味いんだろうか。
美味いなら今度お袋に買ってくれと頼んでもいいんだが。
そんなことを思いながら見ていると、
「それが食べたいんですか?」
と聞かれた。
「ちょっとな」
「それくらいなら、わざわざレトルトなんて買わなくても、僕が作りますよ?」
「作れるのか?」
素直な驚きのまま口にすると、古泉は心外そうに眉を下げた。
「僕のこと、見くびってませんか?」
「う、あ…すまん。自分では全然作れんもんだから、つい……」
そう謝ると古泉は小さくため息を吐き、
「いいですけどね。悪い意味じゃなかったようですし。それに、あなたはある程度ご自分で料理が出来るからこそ、料理が難しいものだと思うんじゃありませんか?」
「そうか?」
「きっとそうですよ。……料理は、あなたが思っているほど難しいものじゃないんです。手間さえ惜しまなければ、どんな料理だって出来ますよ。それから、愛情を込めればいくらだって美味しくなります」
ぬけぬけとそんなことを言った古泉に、俺は顔を赤らめながら、
「…ばか」
と毒づくのが精一杯だ。
「ふふ、照れなくてもいいんですよ?」
「照れてねえよ」
そんな風に、古泉が少々態度を変えても同じようにじゃれていられるのはやっぱり、古泉の本質的な部分を知っているからなんだろうな。
だから俺は、古泉が少しばかり冷たい態度を取ろうが、俺に秘密を作ろうが、大して振り回されることもなく信じ続けられるんだろう。
古泉の部屋に帰り、いそいそと料理に励む古泉の背中を眺めながら、そんなことを考えた。
それだけで、幸せに思う。
古泉が楽しそうだからかもしれないが、料理を待つ時間がこんなに楽しくなるとは以前は少しも思わなかった。
作品名:口の悪いカレ 作家名:織葉(おりは)