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病的愛的恋愛

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イライラする。
大体今日は良いことが何一つない。
せっかくの情報源で、良い金づるにもなる女だったのに切れちゃうし、新羅にはからかわれるし、シズちゃんには会っちゃうし、なんなの。

走ったせいでどんどん痛みが増す肋骨を押さえながら、フラフラとマンションまでたどり着く。
鍵を探そうとして、帝人君に渡してしまっていたことを思い出した。

(これでいなかったら俺終わった)

ピンポンとインターフォンを押せば、扉のロックが外れる音。
ホールをくぐってエレベータに乗ったところでその浮遊感にさらに吐き気が増した。

(シズちゃんの馬鹿力・・・ヤバイ吐きそう。とりあえず帝人君に慰めてもらう。絶対)

玄関までたどり着いたら勝手にドアが開いた。

「お、おかえりなさい・・・」

その言葉に、一瞬緩みそうになった顔を必死に引き締めた。
だってだって、おかえりなさいとか、そんな言葉帝人君から聞いたことなかった。
そりゃ鍵預けたのが初めてなんだから、聞いたことなくて当たり前なんだけど

(それを、おかえりなさい、って今、俺嬉しいとか、思った)

ドアに頭を打ちつけたくなる衝動を抑える。
廊下を進んでリビングにたどり着けば、ソファにも寝ていた跡はない。
っていうことは

「・・・なんでいるの?」

(なんで起きてるのさ、なに横にもならずに馬鹿正直にいるの。やっぱりベッドに俺が押し込んでやらないと――)

「あ、えっと、ハンバーグを・・・」
「ハンバーグ・・」

ちらりとダイニングを覗けばラップのかかった皿がある。
ちゃんとデミグラスソースが別容器に入れて置いてあるのも見えた。

(あぁやっぱり作ってくれてる。さすが帝人君。でも無理。今は本気で無理)

ずっと食べたかったんだから、美味しく食べたいし、シズちゃんと新羅のせいで胃のあたりがジクジク未だに痛んでる。
ここでハンバーグなんて食べたりしたら確実に吐くのが目に見えてる。

「あぁ・・」

シズちゃんはホントに死ね。
あいつにさえ会わなかったら俺はちゃんとここで帝人君と一緒に、帝人君が作ったハンバーグ食べれてたはずなのに。

「いらない」

冷蔵庫にでも入れておいてよ。明日食べるから、もうあんまり俺をイライラさせないでよ、痛いんだよホントに。
新羅に鎮痛剤でも打ってもらえば良かった。
あのヤブ医者め。

「・・・っでも、臨也さんが」
「いらないって言ってるだろ。あぁ面倒くさいなぁ」

だから早く寝ようよ。
セックスする元気は当然ないし、怪我ばれたくないからとりあえず風呂入って、ゆっくりしたいんだって。
俺だって今日男として役に立たないとか最悪な状況から脱出して来たところなんだから、しかも腹殴られるし最悪なんだってば!

「・・・いっ、ざやさん!」
「あぁもう、うるさいなぁ!」

(だから黙れって!)

全部のことにイライラしてコートを投げつける。
大体帝人君は俺のこと慰めなきゃ駄目なんだよ。
帝人君のせいで俺こんな目にあって、好きとか何それ、信じられないし。

(だから、帝人君は俺を慰めて今すぐ俺の抱き枕になって明日はちゃんと起してくれないと駄目なんだよ)


「臨也さんにとって・・・僕って、何、ですか・・・?」


何?何って・・・・・何だろう。
知り合い?帝人君がその程度で俺のこと考えてるなら殺したい。
友達?本当はそれが正しいのかもしれないけど、友達はセックスなんかしないし、まずそういう時に思い浮かぶとかないし。
恋人?あぁ一応そういう肩書だった。でも俺は――

(遊びだ。遊びのはずだ。そうじゃなきゃ駄目なのに、なんでそれが駄目とか俺以外に恋人いるのかよとか、)

(俺が本気なんて、本気とか、そんな馬鹿なこと、あぁちくしょう頭まわんないし!)


「さぁ?そんなことどうでもいいから、とりあえず風呂――」
「・・・っもう臨也さんなんて知りません!別れます!」


別れる?何が?
俺と、帝人君が?


(・・・そうだよ、別に俺は本気なんかじゃない。俺がただの一個人を好きになるなんて馬鹿なことありえない)

(今までと同じだ、別に別れようが捨てようがどうだっていい。一つの遊びが終わるだけ――)


「あっ、そう。別にいいけどさ。鍵はちゃんと置いて行ってよ」
「っわかりましたよ!あなたなんか好きにならなきゃ良かった!」


(終わる、だけ―――)

あぁそんなにバタバタ走ったらコケるよ、帝人君。
それでなくても運動神経なくて、人に絡まれやすいのに、こんな時間に外出てどうするのさ。


「好きにならなきゃ、とか、それ、俺のセリフじゃない・・・・?」


ぐるぐるして気持ち悪くて、とりあえず寝ようと床に倒れこんだ俺は、自分の言った言葉の意味もよくわからなかった。

作品名:病的愛的恋愛 作家名:ジグ