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買い物に行きましょう。

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「すまない」

「いいえ、お気になさらず」

店員と他の客から送られる無言の抗議に耐えられなかった。

店を出た二人はメインストリートを並んで歩いた。

しばらく言葉もなく歩いているとリヒテンシュタインが急に立ち止まった。

「私くしはドイツさんとお買い物に来たかったのです」

「リヒテンシュタイン?」

「それは、御迷惑だったのでしょうか?」

リヒテンシュタインは胸の前でしっかりと両手を握っていた。

どこか必死な瞳でドイツを見ていた。

「違う、そうじゃない、俺が言いたいのはそういうことではなくてだな」

その瞳から涙が一滴、零れ落ちた。

ドイツはすぐにリヒテンシュタインに駆け寄ると腕の中に抱き込んだ。

「誤解させてすまなかった」

「はなしてください」

「俺が悪かった」

抱き寄せられた体が熱い。

どくどくと鼓動する心臓は一体どちらの音だろう。

「だから、泣かないでくれ」

このままドイツの一部になれればいいのにとリヒテンシュタインは思った。



作品名:買い物に行きましょう。 作家名:飛ぶ蛙