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メルヘンクエスト―序章

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 「(この本、何処かで・・・。)」
 「皆そろったし、中身見てみるか。」
 本にしては豪華な装飾。
 表紙絵もタイトルも無く、留め具に透明な石が付いた・・・・。
 「(何処かで・・・別の本で見た事が有る?)」
 「(昔、カルデアで・・・お姉ちゃんが教えてくれた・・。)」

 「「((・・・思い出した!))」」

 「ギンタン、その本開いちゃダメっ!」
 「皆、部屋から避難しろっ!!」
 ドロシーとアルヴィスの焦り様、ナナシもアランもその様子にギンタの持つ本に何かしらの危険を感じた。
 当のギンタは・・・・
 「え?何だ?」
 ギンタの指が、本の留め具に触れる。
 バン!
 たったそれだけで、本は独りでに勢いよく開いた。
 どこを見ても真っ白なページ。
 首の後ろを、全身をザワザワとした感覚が這い廻る。
 「なっ・・?」
 ギンタの体から魔力が漏れ出し、机の上の本が吸い込んだ。
 キィィーーーン
 甲高い耳鳴り。
 しかしそれはほんの数秒で止んだ。
 「何なんだ?魔力を吸われたのか?」
 一人クエッションマークを浮かべるギンタを余所に、アルヴィスが行動を起こす。
 「未だ間に合うかもしれない!早く外へ!」
 声を荒げ、本へ向かって走るアルヴィス。
 「ど、どうしたんだよ?」
 「ギンタ、下がれ!」
 「えぇ?」
 アルヴィスの指が、机に触れている本の端に触れた。
 
 ――さあ、物語の始まりじゃ。