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【銀土】かつて戦争にいた銀さんと今戦場にいる土方の話

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ちちははの、子供らの、年寄りや国の未来さえも全て少年らの肩にかかっていた。その言葉は暗闇の中で恐るべき輝きを放ち、それらを護るために誰もがひたむきに走っていた。闇の中を走って走って走って、ようやく夜が明けると、傍らにはいくつもの「未来ある人間」だったものが転がっていた。

ひとりひとり肩をゆすって「おい、」と声をかけてみても、どこからも帰ってこない。呼んでみようにも、銀時は彼らの名前をひとつとして知らなかった。ただその夢や護るべきものだけがきらきらと輝いて、輝いて、馬鹿馬鹿しいくらい未来に溢れていたことだけを知っていた。



銀時は、「昨日ようやく名前を知った人間の死体を、今日になって拾って帰る」ということがなくなった今でも、人の名前を覚えるのが苦手だ。

とりわけ相手が男となると、名前どころか顔さえもまったく覚えられない。依頼人の名前をさっぱり間違えて新八に怒られても町で偶然会った誰だったかに苛立った顔をされても、改善の兆しさえ見えなかった。

戦争時代の名残というのは感傷が過ぎるので、思うにこれは、俺個人が持って生まれた性格なんじゃねーのと銀時は考える。それから、「あ、性格なら仕方ねぇよな。だってどうしようもないもん」とも思う。どうしようもないことなので、特に努力もしないことにする。
また会うのなら、名前など忘れたって、どうにでもなるだろう。






その日、仕事終わりにふらふらと飲みに出たら、なんということか二件目の店のカウンターで顔見知りに出会った。それも、あまり親しくない類の。親しくないどころか、寄ると触るとついつい諍いになってしまうような類の。その人物は、真選組で副長を務めている。銀時とは違い、雨の日に苦労などしてないような黒髪(そして黒い服を好む)を持った、甘い物嫌いの公務員だ。挙句女にもてる。

これだけで十分に嫌悪の対象になるふざけんなお前と思っているから、今夜も遠慮なくその嫌悪を売りつけた。売りつければ、相手はすぐに買い叩いてくる。

「ふざけんな。なんでせっかく久々に現金を得ためでたい日にテメェのツラ見てすごすご帰んなきゃなんねぇんだ。帰れ」
「ふざけんな。なんでよりにもよってオフの日にテメェなんかと隣になんなきゃなんねーんだ。お前が帰れ」
「んだとォ?」
「あ?」