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加賀屋 藍(※撤退予定)
加賀屋 藍(※撤退予定)
novelistID. 3743
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素直じゃない貴方の隣

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こうやって、追う方はともかく追われる方は弱かった様子の骸は、綱吉の予想より短期間でオちた。
車中で告白し一蹴されたあの日から―――丸5年。

後で骸に聞いたところ、ああなった理由は『……このままでは本当に今の生の間中、この状態が続くと思いましたので』らしい。俺に追いかけられるのがそんなに嫌だったのか、と綱吉は今も複雑になる。

そして、骸は確かに正しかった。
どんなに経っても俺に諦める気は微塵も無く、「好きだって言い続けて、本気を認めて貰えるまでに、まず10年はかかるかな…」と踏んでいたのだから。

だって骸が、言われて嫌そうな反面、くすぐったそうにしていたのを俺は知っている。
好きだと言われることに慣れていない。好意の受け取り方を知らない。
骸にはそういうところがあった。
そんな勿体無いこともない。だって、彼の周りに居る人を……俺を救ってくれた人なのに。

だから、どんな結末になろうと、死ぬまで言い通す気でいた。
……それを言ったら本気で引かれかねないので、その事実は俺の胸の中だけにある。



それから、また一年近い時間をかけて、俺に対する骸の態度は少しずつ軟化した。
接触に対する拒絶がなくなり、いつの間にかスキンシップが増えた。
(骸は男女比なく人間嫌いなので、特別男に対する嫌悪感はなかったらしい。変わってると言うと、君ほどじゃありませんよ、と返された)
俺の告げる「好き」に、嫌そうな表情を浮かべることもなくなった。
それどころか、彼が以前、否定していたこともしてくれるようになった。

―――すなわち今信じられないことに、骸は俺を必要とし、俺に愛を囁いてくれるのだ。





ベッドの上で過去を思い出していた綱吉は、隣にいる恋人を呼んだ。
「骸」
「何ですか、綱吉くん」
骸はすぐに反応し、こちらに振り向いた。
普段の呼び名である『ボンゴレ』よりも近しい響きに、うっとりと陶酔する時間だ。
綱吉はもう何度目になるかわからない言葉を口にした。
「やっぱり……お前が好きだ」
以前は仏頂面で聞き流した人は、今は目元を和ませて俺をぎゅっと抱き締めてくれた。