ERROR DETECTION
全員のサーブを終えて自分の椅子についた灰原が抑揚のない声で言うのに、オレは苦笑してテーブルに肘をついた。
「まあな。でも、キッドは愉快犯みたいなところがあるからな。大人が子供になるなんて、面白そうなネタだから黙ってるのかもしれないぜ? 自分以外の話題で世間が大騒ぎするのが嫌だったりするのかもな」
「なによそれ。そんな子供みたいなことあるわけないじゃない」
呆れてつぶやく灰原にオレはさらに畳みかけた。
「いやだって、犯罪者の心理なんて、オレたちには本当にわかんねーんだからさ。ここであれこれ推測してたってしょうがねぇって。とりあえず今は飯にしようぜ、飯に」
腹へった、と勢いで会話を押し流し、いただきます、と手を合わせたオレは右手にスプーンを取った。
呆れ顔の灰原の隣で、苦笑を浮かべた博士がそうじゃの、とのんびり答えて、結局そのままこの話は打ち切りになった。
作品名:ERROR DETECTION 作家名:にけ/かさね