ERROR DETECTION
そうして防火加工のためにつるつるした手触りの布に触れたところで、ふと視界を何か白いものが横切ったような気がして眉をひそめる。
──やべ。貧血かな。
最初は鳥が飛んでいるのかと思ったが、よくよく考えれば夜中に飛ぶのはフクロウぐらいのものだ。英国生まれの魔法使い人気で白フクロウをペットに飼う人間が増えたという話は聞いていたが、それでもそれなりに高価なものらしいし、まさか放し飼いにしたりしないだろう。
とりあえず常識的な見地からそう考えて、オレはその可能性は却下した。そして、その次に思いついたのが貧血で。
立ちくらみの時なんか目の前にノイズが走ることがあるし、見えた気がしたのは一瞬だけだったから、その一種だろうと自分を納得させたのだった。
あとになって、それは無意識に嫌なものから目を逸らそうとしてたんだって理解したけどな。
どうすっかな。読書はあきらめて、大人しく布団に入ろうか。でもそれじゃ、何のための外泊だかわかんねーよな──そんなことをひとりでぐるぐると悩みながら、とにかくオレはカーテンを引いて鎧戸を閉めようとした。
だが、そこにいきなり白いものが飛び込んできて、戸の隙間をこじ開けようとしたりするものだから、心底驚いてズサッと窓際から身を引く。
「誰だ……っ!?」
まさか黒ずくめの──!?
しかし警戒するオレの目の前に現れたのは、白い巨大な鳥みたいなもので。
「よう、ボウズ。久しぶりだな」
「──キッド!?」
あまりにも意外なやつの登場に、オレはポカンと口を開けた。
作品名:ERROR DETECTION 作家名:にけ/かさね