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薄紫の空の彼方に貴方を見ました

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そう続けられて、私はちらり、と、私の後ろにいるバクフーンを見る。
バクフーンは、うれしそうに体をすり寄せてきた。
それがいつものこの子と同じで、でも、私に大丈夫だよって言っているようでもあって、少し緊張がほぐれた。

「じゃあ、この子を真ん中にして、お願いします。」

そう言って、私はにこりと笑ってみせた。
一緒に写真が撮れるなんて思ってもなかったから、緊張でうまく笑えたかは分からないけど。

タケシさんは、いつも持っているリュックの中からカメラと三脚を取り出して、セルフタイマーをセットしてくれた。
どうやら、写真を撮ることはもとから好きなようだ。
私も、写真は好きだ。
バクフーンや、手持ちの子たちと撮った写真は何度もパソコンで見返している。
バクフーンが、進化する前の写真とかもあって、貴重だし。

「よし、準備できた!」

そんなことを考えていたら、いつの間にか準備は済んだみたいで、タケシさんがこちらにやってきた。
もう、セルフタイマーはチカチカと点滅をして始まったことを告げている。

「もう少しこっちによって…、うん、そうそう、笑ってー。」
「………!」

私たちの真ん中で、少し後ろにバクフーン控えているとはいえ、いつも話すときよりもずっと近い場所にタケシさんがいるんだと思ったら、
心臓がもっと早く脈打って、顔が熱くて、全然うまく笑えなくて。
いっそ悲しくなってしまうくらいに、顔も体も固まってしまっていたと思う。

けれど、タケシさんはそんな私の様子には気付かなかったみたいで、撮れた写真を確認している。
気付かれなくてよかったと思う反面で、もう少しそばにいたかったなんていう厚かましい気持ちがある。
そんな自分に少し嫌気がさした時に、写真を確認し終えたタケシさんは声を発した。

「やったー!思い出がまた一つ増えたぞ!」

それを聞いた時の感情を、どう表現すればいいのだろう。
私は、一瞬何も考えられなくなって、うっかり思ったことを口走ってしまった。

「思い出になんて…しないでください…。」

「え?」

そんなことを口に出してすぐに我に返って、私は何を言ってしまったんだろう、と思った。
タケシさんが、不思議そうに聞き返してくるのを確認したら、さらに冷静になった。

「あ…!私…、用事思い出しちゃったんで、そろそろ帰りますね!」