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こた@ついった
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天使の歌声...一瞬一時を

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 覗きこんでくるイタリアに「ああ美味い」と返事をすると喜ばれた。イタリアの作るものは皆、美味い。本人も楽しそうに作るのだから、食べるのも気分が良い。
「良かったー。ちょっと甘くしすぎたかと思って」
「この位で良いんじゃないのか?俺は好きだぞ」
「ありがとう! 俺もドイツん家のお菓子好きだー」
 イタリアはにっこりと微笑むと、自分もカンノーリを一本食べはじめる。
 掃除前の少しの休憩、の積もりだったがもう少しこのままで居ても良いんじゃないのか、と甘い匂いの漂う甘い空間で思った。
 イタリアの"天使の歌声"を聴くと、不思議と自分にしては珍しいそんな気分になれる。

<一瞬一時を>

「ドーイーツー」
 床にへたりこんだイタリアが怠そうな声を掛けてきた。
 掃除をしているところだ、イタリアの家を。最初はリビングと寝室だけの積もりだったのだが、掃除好きな俺だ、全部屋をしたくなり、始めてから三時間が経とうとしていた。イタリアの家は掃除を全くしていないらしいが何故か綺麗で(恐らく兄弟どちらも出掛けてばかりだからだろう)、イタリアは「そんな本気にならなくても使ってないんだから大丈夫だって」と言うが、それでは駄目だ!見たままが綺麗であろうと使ってなかろうと、否、使っていないからこそ見えない塵が溜まっていくんだ!と、俺の掃除魂に火が点いてしまった、それはまあ、反省してはいる。
「休憩しようよー」
「もう少し待ってくれ。この本棚が終わったらな」
「ヴェー」
 現在掃除中の此処は、寝室と同じくらいの広さの、イタリア達兄弟が使っていない、大分昔の古い書物やアルバム等を保管しているのであろう本棚と微妙な高さのスツールが二個重ね置きされているだけというシンプルな部屋だ。
 ここの本は手に取ると崩れてしまいそうなほどに古い。だから本棚の掃除は一等丁寧に行わなければいけない。イタリアには向かない作業だから、本棚には触れさせずに床を掃くよう言ったのだが。三時間続いた掃除に疲れてしまったらしい。まあそりゃあそうだろう。
「ねえ、ドイツ」
「何だ」
「ドイツって何でそんなに掃除好きなの?」
 本を一冊一冊手に取り丁寧に埃を取り除き、棚を濡れ雑巾で吹いてから乾拭きをする。この作業を淡々と繰り返すリズムが心地好い。