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こた@ついった
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天使の歌声...一瞬一時を

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 質問に、イタリアへ眼を向けるとぶっすうとした顔をしており思わず苦笑した。引っ張ってやりたい頬、だ。
「何でだろうな。考えたことも無かった。特に理由は無いが、強いて言うなら、すっきりするから、か? 自分の過ごす場所が汚れているとあまり良い気分ではないだろう? 逆にしっかり掃除されていれば落ち着くし、元気も出る。部屋に自分は影響されるんだろう。部屋は毎日の生活を反映しているようにも思う。だから常に綺麗にしておきたい」
「へえ、確かにそうだね。自分の暮らす毎日に汚れがあるって思うと掃除したくなるね」
 感心したように髪と同色の瞳を大きくする。こいつは感受性の豊かだとつくづく思う。俺はこいつの様に感情を大きく表す事が苦手だから、こいつのそういったところを羨ましく思う。羨ましいというより、眩しい、だな。
 リズムと化した本の整理を続け、後数冊で終わる。イタリアは壁を背にして座っている。スツールを出してそこに座ればいいのにな。動けないという意思表示、もしくは唯思いついていないだけか。全く、こいつは。
「スツール出してやるから、それに座れ。床は駄目だ」
「え、あ、うん。ありがとうー」
 後二冊、一冊、終わり。イタリアを振り返ると、「終わったのー?」と間延びした声。返事をして、スツールを取って並べイタリアに座るよう促す。自分も腰掛け、大きく息を吐く。窓の外が真っ暗なのに気付く。もう夜だ。
「お疲れ様ー。俺の家なのに、ありがとう」
「いいや、俺が勝手に言い出しただけだからな。逆に、すまないな。疲れただろう」
「うー、まあね。でもさ、掃除すると気分すっきりするんだね、殆どドイツがしてたけど」
「そうだな」
 でも俺は掃除好きにはならないけどね、と加えたのに苦笑して、暗い空に星の光を見つけた。明日は晴れだな、と考える。
「なあ、この部屋の書物はお前のものなんだろう?」
「そうだよ、俺と兄ちゃんの。すっげえ昔のやつなんだ。掃除に入るまで忘れてたよ」
「そうなのか。俺の家にはあまりそういったものは無くてな。あれはアルバムだろう?」
 他の書物よりもやや大きめのものを指差す。ワインレッドの背表紙が窓の外の夜の空にあっている。
「うん、ちっちゃい頃とかの写真、オーストリアさんとハンガリーさんとスペイン兄ちゃんがいっぱい撮っててさ。もうずっと見てないやー」