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ドッペルゲンガーのともだち【鉢雷現パロ】

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 ポコン、とガムを割って、三郎は無気力に席横の校庭を眺めた。
 今日は入学三日目。体験授業などかったるくて受ける気がしない腐れ縁三人組は、近くに座りながら思い思いのことをして過ごしていた。とはいえ、八左ヱ門のDSの電池が切れて手持ち無沙汰になったようだ。
「なあ三郎、おまえ、部活入る?」
「考え中。ていうかそれ、さっきからずっと考えてる」
「ふーん。あ、部活リスト見せてくれ」
 プリントを覗き込む二人に、文庫をしまった勘右衛門も加わる。サッカー部やバスケ部という定番を頭にずらりと十数種が並んでいる。三郎はため息をつき、また外を眺めた。
「「(かっこいい俺にどの部活が似合うか悩んでいる顔だ)」」
 八左ヱ門と勘右衛門は心の中でそっと呟いた。長い付き合いだ、バレバレである。
 あれ? でも、と思わず漏らしたのは勘右衛門だ。
「三郎、さっきバレー部の貼り紙じっと見てたよね。バレー部じゃないのか?」
「え、俺が!?」
 がたん、と椅子が鳴る。
「そうそう。職員室前でさ、昼食べる前くらいに……すごく真剣に見てた」
「見間違い! バレー部なんて入るかよ、アホ八と同じ部活になるじゃねえか」
 心外と言わんばかりの三郎に、さすがの八左ヱ門もむっとする。
「素直じゃないな三郎、俺も見たんだぞ、お前が馬鹿面で勧誘ポスター見てるの」
「は!?」
「……見間違いじゃないと思うんだけどな……」
 顎に手をあて考え込む勘右衛門に、ふざけている様子はない。そもそも八左ヱ門ならともかく、勘右衛門は脈絡もなく変なことを言う性格ではないのだ。三郎にだって分かっている。
「……手前の授業がのびたから、おまえらと一緒に昼とるまで、俺はどこにも寄り道してないぞ」
「じゃあ、どうして……」
「三郎が二人いんじゃね?」
「「あのなー」」
 けらけら笑う八左ヱ門の、あいかわらずな適当さに二人が脱力する。

「いるわよ」
 三人は一斉に声のした方を向いた
 三郎の隣の女子が突然話しかけてきたのだ。
 三郎は上体を起こして、怪訝な顔を作る。
「どういうことだ?」
 栗色のウェーブヘアをまとめた彼女は、「もう一人のあなた、不破雷蔵っていうの」と続けた。

 三人組が、つかつかと廊下を歩いていく。
「なあ、会ってどうするんだよ三郎」
「そうだよ、やめようよ!」
「俺と似てる奴がいるなんてたまるか!」