クリスマス米英1
「………イギリスさんその台詞にもドン引きです、なんかすっごいエロいです」
「なんでだよ?!てめー人の親切をなんだと…!」
「あ、それおにーさんもセーシェルに賛成。男が女に服プレゼントするなんて狙いはひとつしかないでしょ」
「てめーと一緒にすんな!髭!」
ぎろりとフランスを睨んで、セーシェルが持ってきた書類に目を通して、処理済みの箱に書類を入れる。
クリスマスパーティの機材の手配、人員の配置、当日のスケジュール。
やることは山ほどある。
生徒たちが一年の行事の中で一番楽しみにしているのがこの生徒会主催のクリスマスパーティで、これを成功させてこそ生徒会の面子も保たれる。
お遊びだからこそ真剣に望まなければいけないこの行事は、絶対に成功させなければならない行事だった。
「…まあなんだかんだ言っても他の行事よりは楽しいよな」
「そんなの当然ですよ!だってパーティですよ!女の子の夢です!」
フランスの言葉にセーシェルが意気込んで頷くのを他人事のように眺めながら未処理の書類に手を伸ばす。
クリスマスパーティなど、一緒に騒ぐ相手がいる奴だけが楽しみなのだ。
もしくは恋人がいて、恋人と過ごす者。好きな相手と距離を詰めたいと思う者。
――片恋をして、しかもそれが叶う確率なんて限りなく低く、それどころか相手のスケジュールすら聞くのが難しい自分には遠い話だ。
意中の相手は今頃クリスマスを楽しみに毎日きっと楽しいのだろう。
妙に浮かれてる相手…アメリカを校内で何度か見かけているし、日本とつれだってクリスマスの話をしている姿も何度か見かけた。
そして普段は近寄らない生徒会室に顔を出すから、嫌でもそんな姿を見ることになる。
それは目立ちたがり屋のアメリカらしく、クラス委員をしているから自然と行事の度に顔を合わせることが多いからで、何かしらの役員や委員をしていると必然的に生徒会と縁が出来るのだ。
今日もそろそろ来るころだろうか?
時計を見ながらそんなことを思ってると、聞きなれた足音と共にノックもなしに扉が開いた。
「よお、アメリカ」
挨拶をしたのはすっかりアメリカの登場に慣れてしまったフランスだ。
セーシェルに至ってはアメリカが来る時間=休憩の時間と認識しているらしく、さっさとお茶の用意に行ってしまうのが忌々しい。
「やあ、相変わらずここは辛気臭いね」