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鳥の歌

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 しかし、少年はますます不機嫌な顔になる。
「不公平は嫌いだ」
 ぼそっと低く告げた。
「おまえ、頭、堅いんじゃねェの」
 からかうと、少年はむっとした表情で黙り込む。
 それがなんだかおかしくて銀時は内心笑う。
 それから、またなにか言ってやろうとして、だがあることが気になって、それを聞くことにする。
「そういや、おまえの名前なんつったっけ?」
「知らなかったのか?」
 少年は驚きで眼を見張った。
「ああ。おまえだけじゃなくて、他のヤツの名前も知らねー」
「胸を張るな。むしろ自分の記憶力の悪さに落ちこめ」
「それで、名前は?」
 強い調子で聞くと、少年は銀時をじっと見た。
 そして、その紅唇が動く。
「和田小太郎だ」
 そう告げたあと、さらに続ける。
「だが、近いうちに和田姓から桂姓になり、桂小太郎になる」
「嫁に行くのか?」
 軽く聞いた。
 その途端、少年は眉をつり上げて怒る。
「行くわけないだろう! 俺は男だ。嫁に行くなど、ありえん! 隣の桂家に子供がいないから養子になるんだ!」
「へえ」
 銀時はてきとうなあいづちを打つ。
「なんだその態度は!」
「あー、はいはい、そんなに怒ってばっかじゃ、そのうち頭の血管がブチッといくぞ」
「貴様が俺を怒らせるようなことばかり言うからではないか!」
 ますます怒る少年に構わず、銀時は歩きだした。
「まだ話は終わっておらん!」
 少年が追ってくる。
 ふたり、肩を並べて歩く。
 それがなんとなくおかしくて、銀時はかすかに笑った。

 このとき、少年と長いつき合いになることを、銀時はもちろん知らなかった。



作品名:鳥の歌 作家名:hujio