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短いのまとめ

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静帝幽/
現在では少し縁遠い二人目の兄はきらびやかな舞台上から便りのない平穏を伝えてくるので、お茶の間の電波を受け取ればそれ程の寂しさは覚えない。
この前など、一人目の兄へ大量の衣服を送る程のお茶目さんぶりを発揮しては、現在共に暮らしている方の兄と揃って苦笑したもので、のちに大事そうに着る様子を送り主にメールでこそりと知らせたり。距離は繋がるものが補ってくれるので円満である。例え血縁はなくとも、寄り添って生きてゆけるのだ。

二人目の兄から聴き出した話では、ある日一人目の兄であるかのひとが拾って来たそうな。
桜の木の下で出逢ったものだから、いつ何時桜に取られてしまわぬようにと花見はしないと心固く誓っているのだとか。
兄がかつて通っていた高校へ繋がる通学路には、それは見ごたえのあるらしい桜並木がひしめいていると耳にしているのだが、此処は保護者然とした傍らの兄には内緒にしておくべきだろうか。大人になるには、秘密の一つや二つは所持してみるべきなのか。
やはり本日もつじつまをむりくり噛み合わせることは容易でない。


胸の内で殻を割り産声を上げたそれは少しずつ糧を得て育ってゆく。世に出てきて一番初めに垢のまだない瞳で写したそれを、ひたむきに追い掛けて、追い掛け続けて這い歩む。
しかして現状を壊さずには叶わないのだから。後は日課の、恋心の首を締めて懲らしめを行おう。そして忘却の揺り籠に閉じ込めてしまおう。
ころりころりと笑んでみせては包ませたくさせて。だが目を伏せてひりつく口内で言葉を飼う。思い出達に番を頼み預けて夜の夢の中のみで構う。
並べた玩具は後悔という名の反面教師。お菓子の夢見てはのたうちをかつて経験した者ら。食事はまとめてごった煮にした言い訳をたんと召し上がってもらって口元を拭くサービスでも施して。
恋は恋のまま、揺らされた世に酔い果てて、目尻から水滴を零したまま、抑え付けて愛にならずにそのまま。
生んでしまってごめんなさい。それでも眠っておくれよ、此処はとても心地がよいのだから。

故に自分の世界は至極当たり前に矛盾を中心にした、そんないっそ潔いものだけで構成している。
作品名:短いのまとめ 作家名:じゃく